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その花びらにくちづけを 「天使のあこがれ」「天使たちの春恋」「天使たちの約束」 感想/詳細レビュー

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序文:
(
注意点、心得)


十年近い歳月も、人によっては特に成長も無く変わらないままという事が解かる。

青文字シリーズは『白衣性恋愛症候群』に倣って(ならって)、脚本や演出に関し、
赤文字シリーズと一線を画すものであるだろうと期待していたが、全くの見込み違いであった。

作画においてはデフォルメバランスにバラつきがあり、
修正が必要な箇所はいくらか見られるものの、基礎的な面で不安を感じさせる事はそれほど無かった。
加えて確かな向上心が見え、今後の成長に期待が持てる立派な絵描きである。

しかし旧来の「その花」ファンにとっては、あまりに急進的な改革であり、
保守派の反発は避け得ぬことであるだろう。
また画集にするにしてもその水準には達していないと思われる。

赤文字では、少なくともぺこ氏による画集としての価値は揺るぎない。

しかし今作ではそれが無い為、称賛すべき箇所はほとんど見当たらなかった。
相変わらず脚本、演出、音楽、背景、システムはプロの水準に達していない。
あろう事か、演技においては半数以上が素人同然の有り様であり、
赤文字シリーズにあった愛嬌はほとんど見当たらない。

こうした問題点は余りに多く、逐一数え上げるのも億劫(おっくう)になる程だったが、
本作の今後の為、詳細な検討を行った次第である。

百合でありさえすれば、内容は一切問わない、という方にはお薦め出来る。

ライターが同じ為、
『白衣性恋愛症候群』と一部比較。
同じと書いたが、役職が“シナリオ原案”である「白恋」と、
“シナリオ”である本作では、監修の度合いが全く違うのでそこに留意。

具体的には、以下を参照して頂きたい。
白衣性恋愛症候群 RE:Therapy 感想 (詳細レビュー)

以下「脚本」及び「演出」項にてネタバレあり、ご注意を。(名前は伏せてある)



◇攻略:


プレイ時間目安:十二時間


あこがれ

 一, 上がる
 二, ドアを開ける
 三, 頷く
 四, うん、あったよ!


春恋

 一, 言っちゃう!
 二, 皐を起こす
 三, 一緒に行く
 四, ちゃんと説明する


約束

 一, 構う
 二, 晶の様子を見に行く
 三, 訊く
 四, 話す


簡易表:


脚本 (what to tell 何を描くか)


あこがれ春恋約束
物語
D+D+C-
構成
D+
D+D

(※一.物語とは、世界の変革、個人の心境変化、それらの変化量。描出すべき事象の過不足の無さ)
(※二.構成とは、物語を描く為の適切な場面の配置、伏線起伏、溜め、ミスリード、小道具の使用等)


演出 (how to show どう描くか)

あこがれ春恋約束
脚本的
D+D+C-
作画的
C
C
C
音響的
D+DD
スクリプト
D-DD

(※一.脚本的演出とは、見せ場を指す。出会い、別れ、愛情、信頼、危機、対決、和解、真実の劇的発露)
(※二.作画的演出とは、印象的な絵。構図、背景、表情、所作、衣装、色、光、象徴、対比、レンズ効果等)
(※三.音響的演出とは、音楽と効果音の使い方。挿入歌は含むが、演技とシステムボイスは含めない)
(※四.スクリプトとは、画面効果を指す。アイキャッチ、ワイプ、暗転、立ち位置や表情の変化等も含む)


◆脚本:
(
シナリオ、構成、テキスト、表現)


端的に言って校閲不足、構成術にも難あり。

構成の酷さが、冗漫な日常シーンと音楽の下手な使い方と併せて、ドラマを破壊し尽くしている。

告白などの重要シーンがほとんど脈絡無く始まり、
余韻に浸ることも無く切り替わるので、プレイヤー側は完全に置いてきぼり。
余韻に関しては、音楽が日常系にすぐ変わってしまう事も原因で、特に二作目以降に見られる。

全編に渡って散見されるが、言う(書く)までも無い
ことを逐一並べ立て過ぎている。
例示すると、鏡探しの下り等はシーンの意味する所を解説してしまっている。
(
こういった事は「白恋」の一部においても見られた
)
その上、異なる視点で繰り返し見せられる事も相まって、
蛇に足だけでなく手まで生えている様な印象を受ける。

良く言えば親切ではあるけれど、読み手に自力で理解させようという気が感じられない。

同じ言葉が安易に乱発され過ぎで、好き”、“可愛い”、“真っ赤だけで、
少なくとも合計にして百回以上は使われている。

修辞においても「白恋」から進歩は見られず、例えば、
桜貝のようなという比喩も「白恋」で用いたものをそっくりそのまま使っている。

物語や人物の移ろいに関して、溜めが少ないので良い意味での飛躍も小さい。

悩みも割合サクッと解決していて追い込まれる
ことが無い。
限り限り決着の所まで行き着いた「白恋」とは重みが雲泥の差。
カタルシスの源泉たる抑圧が少ない。
御託を並べて少々のアクションを起こすくらいで、
大概の
ことは解決。口を動かすばかりでドラマが無い。

とは言え三作目までの段階では、人物の紹介を終えた程度な為、
持ち直す可能性は僅かにだが残っている。

親に関する点や寮監の方など、今後明らかになりそうな所の伏線もいくらか見えた。

しかし、およそドラマやカタルシスに関しては、
その花ブランドに要求すべき点ではないのかも知れない。

主に一作目において、会話や行為中の言葉遣いが多少不自然。

違和感のある表現を台詞以外も併せて以下に箇条書きする。
(
ゲーム内時系列順)

一作目

 a. “
毒のように甘い
 b. “
全ての時間帯の○○○ちゃんを愛するだろうなって思ったの
 c. “
わたしの母校で勤務先の病院付属の看護学校に進むんだって
 d. “
あたしは、あたりのスピードで
 e. “
ひとりリトマス試験紙
 f. “
一人リトマス紙

 a.
限定関係:甘い毒のように、なら自然。(どちらも直喩だが、限定関係が逆)
 b.
誤用:時間帯は一日の中を示す。
 c.
説明台詞で修飾過多。
 d.
誤字(あるいは誤植)
 e
f. 共通範囲:赤に変わるだけではないので、赤く染まった頬を形容するには不適切。

二作目

 a. “さまの
好きなものをヒアリングして (以下略)”
 b. “
霰もない格好 (〃)”

 a.
誤用
 英語で尋ねるの意味として使いたいならaskが一般的。
 hear
は「聞こえる」の意味で使われるのが多く、
 和製英語として無理に使うにしても
個人を相手に使うのは避けるべき。
 b.
誤用(あるいは誤変換):氷の粒であると、ここに用いるべきあられは別物。

 使われている漢字について、常用外の難読漢字がいくつかあり、
 “
擽る”(くすぐる)“梳る”(けずる・くしけずる)
 “
掬って”(すくって)等、それなりに難しい所もある。
 作中で読み仮名が振られているものに関しては、ここに含めてはいない。
 仮に台詞であれば、基本的には問題にならない。

 人物の毛色は「白恋」に通ずるものがある。(別の毛が無い方もいる様だが)


◇演技:


主に一作目の二人、如何にも新人という感じで、
ここぞという場面でも生気が無く情熱や趣が感じられない。
特に行為中にはそれが顕著に表れている。
一部だが台本のまま読もうとし過ぎている様な感覚。

録音の質自体も今一つ。

好意的に見れば、どちらも伸び代は十分にあると言える。

行為中や泣きの演技における脚本の補足として、この項に付記する。

中毒はまだしも、火だるまとか、死んじゃう等、
行為中に聞かされると精神的に萎えるところ。(“火だるまは台詞ではなく心理描写内)
エクスタシーの解説を始めるのも風情が無い。

想像の域を出ないが、三作目の実習早退後の泣きの演技は、
ディレクター、ライター、音監、声優の連携が全く取れていない様に思えた。
(
個別ブース内での録音は承知しているが、演技指導は出来たはず)


◆演出:
(
スクリプト、画面作り)


基本的に演出と呼べるレベルのものが見当たらない。

寮とは言え部屋を使い回した為、個性を描く機会を喪失している。
これは美術面での意味、小物類で個性を出すのは基本。

三作すべてに見られるが、通常、少しの時間経過や場所移動の間に
挿入されるカット(建物全景や通路など)がほとんど無い。
大きな場面転換や日付けが変わるくらいの際には、キャラを大きく映した画面が稀に入る程度。
(
三作目では、たまに長めの暗転が入る様に多少の改善)

上述の為に、
空間で言えば、教室と自宅
()の間を一瞬の間に脈絡無く移動する事が挙げられ、
時間に関しては、昼と夜の間がそれに当たり、場合によっては日を跨いでいる事すらも。

こうした些細な
の積み重ねが、プレイヤー側にストレスを蓄積させている。

一作目に特に見られる事として、回想シーンが概ねそっくりそのまま繰り返し。
台詞を二重括弧にしたくらいで、何らかの画面処理や省略も無し。

本項の以下は多分に主観的な評になる為、ご容赦願う。

二作目、二人の出会いのシーン。日常系の音楽のままというのが先ず以て残念。
続いて、分割画面にした為に折角のレイアウトが死んでる。
そのまま全体を映していれば、二人の当初の関係を予感させるものになっていただろう。
(
特に優乃視点からの)

しかし、引き換えに表情は捉え易くなっている。

仮にPOV(主観視点)でティルトアップを使えば、プレイヤーは優乃の視点を感じる
ことが出来たところ。

三作目、捻挫に続いての実習後のシーン。
部屋が薄暗く空間情報を減らした分だけ、心理面を描くのに効果的な状況だったが、
如何せん直ぐに行為に入ってしまうのと、使用された音楽が日常的過ぎて惜しいものとなっている。

同じく三作目、青文字シリーズ最大の見せ場と思われる、
身上を告白するシーンについてだが、明るい寮の部屋でというのはどうなのだろうか。
加えて上に同じく、直後に行為というのも強い違和感を感じる。
(
とりわけ故人の話の直後というのが、その感覚の直接の原因である)

余計なお世話であると重々分かってはいるが、
シーンが練られていないだろう事を顕示する為に、
あえて失礼を承知で以下に例を挙げさせて頂く。

どうしても部屋にしたいなら、吐露する側の部屋を使う方が無難な所。
(
部屋を心の象徴と捉える)
初めて入るのであれば尚の事良いし、普段は鍵でも掛けてあれば一層引き立っただろう。

仮に寮内に限定したとしても手はあった様に思える。
例えば話の内容的に、屋上に出て星でも観ながら、場合によっては雨でも降らしたりする所。
(
一例としてだが、星は故人の暗示、屋上は少しでも天に近く、
夜闇は心を照らす、雨は言うまでも無い)

これらは予算も考慮して背景を使い回す
ことを前提としたもの。


◇作画:
(
キャラクターデザイン、原画、塗り)


複雑と思われる構図を巧く処理しているし、遠近感を捉えていて骨格や筋肉にも違和感が無く自然。
春恋の個別CG5枚目14枚目における、広角パースは作画演出と思われる。
(
簡単に言えば、カメラ側手前が大きく、奥が小さく映るという
こと)

アップショットの際に目に付く点として、顔と体のデフォルメ具合の統一が不十分と思われる。
(
体が顔に比してリアル寄り)
顔だけで見ても耳の描き込みが他より多い、但し三作目タイトル画面では修正(補正)が伺えるが、
今度はデフォルメ過剰になっている。

系統で言えば少々カエル系の顔立ち。これは好みの問題。

引きで見れば概ね違和感は無い。

以下に不自然さを感じる箇所を列挙する。
(
表示例 1-2 一作目のCG二枚目)

 1-1
驚き顔、不自然な指 (りんご) 
 1-2
1-7 横顔の凹凸 (りんご)
 1-9
 鼻と口の位置 (りんご)
 1-10
肋骨部全体 (りんご)
 1-18
平面顔 (りんご)
 2-8
 耳の角度、輪郭 ()
 2-11
精細過ぎる指 (二人)
 3-1
 平面顔 ()
 3-8
 過剰な小指球筋 ()
 3-18
髪の生え際 (成美)


◆音楽:


曲は相変わらずチープなものが多い。使い回しは多いが、曲数だけは立派なもの。

質を高める為に年間に三曲で良いから全力で作曲して頂きたい。

使い所を誤った様に感じる箇所もある。
(
二作目の告白後のシーン、三作目の捻挫後の下りなど)


◇効果音:

特筆すべき点は無し。


◆背景:


初期の同人時代から僅かに進歩している、若干ながら情報量が増えた。

少し気になったのが時間が経過しても時計の針がそのままという
こと


◇システム:


ウインドウ透過度の調節はあった方が良い。
演技の実情からして、個別音量調整機能が求められるだろう。

最低限必要なものは揃っている。


◆他:


選択肢は多少考える必要のあるものになっている為、
それまでの内容や相手の視点を頭に入れておく事になる。
一作毎が短いので気を張る程ではない。


◇結語:


「白恋」とは舞台と人物の描写のみが似ていて、あとは全くの別物。

その他の「その花」シリーズは、ぺこ氏の原画に無上の価値を覚えるが、
青文字シリーズはそれもないので、物語の方を重視してみたものの、
主に時間と構成に演出、演技の多くが制約となってカタルシスは得られなかった。

看護学校の雰囲気を知る
ことが出来たのは良かった。
看護観の下りは、「白恋」同様に聞き応えがある。
しかしあちらとは違って、看護や医療が精神的にモチーフの役割を果たしていない為、
興味が無い方には無意味だと言える。

赤文字シリーズの様に新装版を出す
ことがあるなら、
演出面の強化とシナリオの補填を行う
ことで、本作は再起するかもしれない。
機材の刷新、演技の再録もあると尚の
こと良いだろう。

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  1. 2014/07/27(日) 20:55:38|
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白衣性恋愛症候群 RE:Therapy 感想/レビュー

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◆序文:
(注意点、心得)


<キラ☆ふわガールズアドベンチャー>を自称しているが、実際は<Killer☆不和>とも言われている。
叱咤の際に現われる半ば剥き出しの感情が、プレイヤーのハートを突き刺す。

とかく小言が多い為、その際は一歩引いた位置から主人公を見守ることが肝要。
しかしこれに対するフォローはある為、その点は安心して良い。

選択肢も難問というより奇問が多い為、ゲーム経験や能力は役に立たない。

医療部分は物語に深く関わっている為、綿密に描かれている。
職業体験ゲームとして見るのも面白いかもしれない。
ここに興味を抱けるかどうかが、本作を良作と見るかの分かれ目となる。

猟奇的な面も多く、衝撃的なバッドエンドやサスペンス的な面がある為、人に勧める際は十分に注意するように。
またバッドエンドは物語の流れが大体手抜き仕様な為、シチュエーションとして楽しむ
こと

以下、「演出」項の後半部に若干、「後記」全般にネタバレあり。



◇攻略:


プレイ時間目安:四十時間


以下を参照


白衣性恋愛症候群 RE:Therapy 攻略



簡易表:


概ねグッドエンドを基準に評価、さゆりの「作画的演出」、やすこの「スクリプト演出」は
個別CGのあるバッドエンドに起因する。詳細は「演出」項にて。


脚本 (what to tell 何を描くか)

はつみ
さゆり
なぎさ
あみ
やすこ
まゆき
物語
B+
A
B+
C-
D+
D+
構成
B+
A
B+
C-
DD

(※一.物語とは、世界の変革、個人の心境変化、それらの変化量。描出すべき事象の過不足の無さ)
(※二.構成とは、物語を描く為の適切な場面の配置、伏線、起伏、溜め、ミスリード、小道具の使用等)


演出 (how to show どう描くか)

はつみ
さゆり
なぎさ
あみ
やすこ
まゆき
脚本的
A-
A
B+
C
B-
C
作画的
C+
B+C+
C+C
C
音響的
C+
C+
C+
B-C+
C
スクリプト
C+
C+C+
C+
B-
C+

(※一.脚本的演出とは、見せ場を指す。出会い、別れ、愛情、信頼、危機、対決、和解、真実の劇的発露)
(※二.作画的演出とは、印象的な絵。構図、背景、表情、所作、衣装、色、光、象徴、対比、レンズ効果等)
(※三.音響的演出とは、音楽と効果音の使い方。挿入歌は含むが、演技とシステムボイスは含めない)
(※四.スクリプトとは、画面効果を指す。アイキャッチ、ワイプ、暗転、立ち位置や表情の変化等も含む)



◆脚本:
(シナリオ、構成、テキスト、表現)


以下は主要ヒロインの三ルートについて。

構成は非常に丁寧で、看護や私生活の中で少しづつ人物が見えてくる。
終盤における正しい飛躍の為の、丹念で地道な下準備と言える。
設定に基づき巧みに伏線を配し、ミスリードを誘ったりと、繊細に織り込まれている。

主人公とヒロインの直接的な関係は、物語後半に分岐する個別ルートに入るまでは割と薄い。

序盤は人物の展開が済むまでの少々退屈な時間を、医療の興味深さによって見事に埋めている。
(この“人物の展開”とは、将棋やチェスの駒が自由に動ける中盤戦までの動きをイメージして頂きたい)

後日談はどれも、軽めの浮き沈みで揺らして、
最後に浮上させて綺麗に終わらせている、これは様式美と呼ぶべき所。

個別ルートはラブシーンに捻りがあって非常に良かった。ネタバレになる為、詳細は「後記」にて。

シーンの意図を文字に起こしてしまうのは少々惜しかった。
つまり解説を与え過ぎていて、読み手に自力で理解させてくれないという
こと。逆に言えば親切ではある。

個別ルートの後半を除いて、回想シーンの使い方が若干拙劣。
画調はそれに合せたものとなってはいるが、
一分ほど前の事をそのまま繰り返すというのが乱発されていた。
(上記の時間は物語内部の時間では無く、現実のもの)

サスペンス要素が少し効き過ぎて、主人公含め数名が若干病んで見える。
病み描写に関しては「後記」にて後述する。

ゲーム本編内では、概ね主人公の一人称視点に統一されている。

看護については、ライター陣の二足の草鞋の為、
おそらくは別段の取材も必要無しに、作品の素材部分を無二のものとしている。
加えてシナリオ上、看護という行為が精神的なモチーフの役割を正しく果たしている。

以下の三行は、後日に本稿において加筆したものである。

上記についてライターの内一人のブログを拝見した。本職である以上、
知識に誤りがないか調べないといけない為、取材に関しては逆に苦労したとある。
ゲームなら問題無いが、曖昧な知識で医療行為を行う事だけは避けて頂きたいところだ。

現場指向の用語解説は、門外漢の多くの為にシーンのリアリティを妥協する、
といったこと無く描くことに成功している。

グッドエンドは理想的でカタルシスがある。ノーマルエンドは現実的でビター。
個別CGのあるバッドエンドは主に破滅的。そうでないバッドは淡々としているものが多い。
バッド中には衝撃的なものもあるが、それまでの流れ(構成)に注力されてはおらず、
労力の多くはグッドエンドの方に割かれている。

メインライターのポジションが「シナリオ原案」である本作、他作品を担当した際と比べ、
粗が抑えられ筋立ても入念になされているのは、ディレクターによる監修が行き届いていることの証左。

これの詳細は「他」項にて後述する。



◇演技:


本作では様々なドラマがあるので、真に迫った演技が活きている。

少々失礼だがライターの年代を感じる表現を、上手いこと落とし込んで違和感を減らしている。
こういった所にも声優の技量が見て取れる。

棒読み等は当然無い。



◆演出:
(スクリプト、画面作り)


小さな場面の転換に適切にカットを挿入したり、
大きく移る時には、タイトルを様々に読み上げたり等、(こちらは所謂アイキャッチ)
細かい所でもリズム感を大事にし、快く気持ちの切り替えを促してくれる。

バッドエンドの一つ「puppe」中のワイプ(の一種)が、歪な関係を上手く表している。
(ワイプとは、画面の転換に用いられる技法の一つ)
(2015 1/29 追記:「ソルフェージュ」をプレイして、これは別段意図的な演出ではないという事が分かった)

個別ルート中のみ回想に手が加えられていて、テンポが良い。

場所や衣装に人物の内面が感じられる。天候を使った基本的な演出も良い。

部屋にも色々あって、個室、大部屋、汚部屋、意外に整った部屋、
入居時の段ボールも開けられずにいる部屋。どれも皆、人物の内面や状況が感じられる。
(「背景」の項にて挙げなかったのは、部屋を記号として捉えた為)

バッドエンド「Horizont」のラストカット、画面奥の人物が小さく、無力感が良く出ている。
日の出は逆に海に沈む様にも見え、それまでの物語の流れと合わせて、
刹那の幸福と苦しみからの解放が感じ取れる比類無き名シーン。
背後からのロングショットは、それまでほとんどの時間を正面から捉えていた為、
主人公とプレイヤーが袂を分かった様にも感じられる。
(但し、女性の腕力や浮力と云った事に突っ込みを入れるのは野暮というもの)

この点を鑑みて、さゆり編の作画的演出の良さとした。



◇作画:
(キャラクターデザイン、原画
、塗り)


塗りには暖かみがある。
立ち絵の表情も豊富でよく変わるので、見ていて退屈しない。
現実に近い頭身は作風に合っている。

原画が二人の為か、絵柄が統一されていない箇所が見られた。
もう少し私服のバリエーションがあればという所。
資料集のコメントからしても、遠近法的な正しさにはあまり自信が無い様子だった。



◆音楽:


重要なシーンで使われるものとしては、
ピアノソロがメインで透明感のある曲が多い。残響が多く聞き心地が良い。

サントラの方で聴くと、マスタリングに手抜き等は感じられない。
ダイナミックレンジは十分、音場に広がりもある。(測定した訳ではないが、聴感上)

専用曲があるのは良いが、全体の曲数は若干少なく、
各グッドエンディングに専用歌も欲しかった所。予算の都合上、難しいとは思われるが。



◇効果音:


扉を閉める音や携帯の着信音が、その他の効果音と比較して大き過ぎる。
病室の扉は横開きが多いし、本編中の背景においても
横開きの取っ手のみが確認出来る為、「ガチャ、バタン!」より「ガラララ……コン」の方が自然。
(2015/7/14:追記)扉に関しては、後発の「白愛」では後者のタイプになっていた。

「フニッ」、「バシッ!」等の表現的音響は、
前者は可愛らしさが感じられ、後者は爽やかな笑いを誘ってくれた。



◆背景:


痛車、掛け軸、ポスターなど遊び心がある。
様々な表情を見せてくれた海岸が一番印象に残っている。



◇システム:


以下はPC版のインターフェイスついて。

まずは欠点について。
フルスクリーン機能、オートモードの速度調節、ホイール下スクロールが無い。

スクリーンについては、気になる人はグラフィックスカードで、
縦横比固定のスケーリング、解像度を1024×600にするのが手っ取り早い。
パッチを制作された方がおられるので、そちらを頼るのも結構。

用語解説を直ぐに確認出来るのは便利。次の選択肢まで飛べるのもありがたい。



◆他:


個別ルートの選択肢は曖昧な所が多い。
共通ルートをいかに注意深く見た所で、全ルート全問正解には辿り着けない。
筆者は上手いこと解けたのは一人だけ。

一方の答えの部分が、選択後に他方でも含まれていたり、ヒントが他ルートで与えられていたりと、
その時点までの情報と、それなりの言語能力だけでは解決出来ない。
全員分完答し切る者は千人に一人もいないだろう。

乱暴な計算だが、個別ルート中のグッドエンドまでの全35問、
その内8問が通常の理解の外にあるとして、<2分の1>の8乗で256分の1、
残りを正答率9割として、0.9の27乗で約5.8%、併せて約0.0227%で、四千四百人に一人くらい。


さて、シナリオに注目して関連のある人物を一通り見てみよう。
本作の設定と構成、脚本は一人の手で作られた訳ではない事が良く分かる。

シナリオ原案:円まどか氏、佐倉さくら氏
ディレクター:みやざー氏
スクリプター:西川真音氏

西川氏は後述するが、シナリオライターが本業。

上記の方々のこれまでの仕事については分からない。シナリオ関係にのみ着目する。
以下で挙げる資料集とは、『白衣性恋愛症候群 ホワイト・マテリアル』を指す。

 引用と著作権に関しては以下を参照した。
 
http://www.shizuoka-pt.com/wrold/gakujyutukyoku/chosakuken.html
 
http://www.furutani.co.jp/cgi-bin/term.cgi?title=%88%F8%97p


次の引用は本作登場人物の一人、持田はづきについて。

みやざー氏:
“かおりとはづきの髪型の類似は、彼女の意識がかおりの内で生きている
ことの伏線です。甘いホットミルクやピザにシナモンの組み合わせも、
はづきの好み。例の“おまじない”を含め、いくつかの伏線が張ってありますので探してみてください!”
(資料集67ページ)

続けて、堺さゆりについて。

みやざー氏:
“序盤のキツいツンの部分は、後半のデレのスパイスになると考え、あえてそうしました(笑)。”
(資料集72ページ)

さらに続けて、若本まゆきに関して。

円まどか氏:
“みやざーさんの助言やフォローを受けて書き上げていったシナリオです。”
(資料集94ページ)

患者との恋愛について。

みやざー氏:
“さゆりをはじめ、『リセラピー』のあみ、まゆきにもつながってくる、
「患者との恋愛展開」は、キャッチ―な要素として僕から円さんに提案させていただいたものです。
まあ、実際は職業倫理的に……という部分がありますから、初期案にはなかった部分ですね(笑)。”
(資料集99ページ)

戻って、さゆりについて。

みやざー氏:
“さゆりはツンの部分をとにかく尖らせてあります。声を演じる今井麻美さんに
「これ、私、嫌われちゃわないですかね?」と、冗談まじりに聞かれたほどですね。
でも、この尖ったツンがあるからこそ、その後のデレが活きるんだ、
と考えてあえて落差をつけるべく、押していきました。また円さんの最初の構想では、
さゆりは彼女のルートのグッドエンド以外では、どこかで必ず息を引き取ってしまうことになっていました。
非常に残酷な運命を背負っていたんですが、弊社のスタッフなどとも相談の上、
現在の形に調整されているんです。また、バッドエンドは円さんからの提案。
百合作品の伝統ともいえる耽美さを感じさせられるところもあって、採用されています。
ちなみに『リセラピー』のグッドエンド後の後日談では、その対となる希望に満ちたシーンが、
同じ砂浜で展開される、という構成になっているんです。”
(資料集99ページ)

設定等について。

円まどか氏:
“付け加えた要素は、やはりはつみ以外のキャラについて。
またみやざーさんから提案していただいた案なども多く盛り込みました。
癒しの手についての設定も、みやざーさんからの提案ですね。”
(資料集100ページ)

バッドエンドについて。

円まどか氏:
“実は私自身、わりにバッドエンド萌えの属性がありまして(笑)。
最初はなぎさのバッドエンドは存在しなかったんですが……
私が「バッドエンドを入れましょう!」とみやざーさんをせっついたことで
組み込んでいただける形になりました。短いものならということで
許可をもらった時は嬉しかったですね。なぎさのバッドエンドは、
一部のファンから「わんわんお!」と言われていることを知って、
『リセラピー』のやすこのバッドエンドは、もっと過激な首輪の
使い方を提案したのですが、「さすがにそれはヤバイです!」と止められました(笑)”
(資料集101ページ)

名前について。

円まどか氏:
“みやざーさんからの提案もあって、患者さんの名前はいろんな薬品名から採っています。”
(資料集101ページ)

やすこのシナリオについて。

円まどか氏:
“賛否両論がありそうだ、ということは、みやざーさんも事前に心配されていました。
ただ1年以上『白恋』に関わって執筆してきた中で、
私の中で自然にキャラクターが生きて動き出してしまっていたというか……
彼女の生い立ちも自然に設定されてしまっていて、そこを変えることは「キャラ」を壊すことになると
判断したので、そこは無理を言って通させていただきました”
(資料集102ページ)

以下は佐倉さくら氏に関して。

佐倉さくら氏:
“ヒロインたちの日常パートの一部と主にあみちゃん、
なぎさ先輩にかかわるシナリオを担当させていただきました。”
(資料集103ページ)

68・80ページの円氏の発言によって、佐倉氏は上記二名の全てを担当した訳ではない事も伺える。

最後に西川真音氏。

西川氏は類稀なるギャグセンスを持っているという事が判る。本作公式ブログ参照。
(念を押すと、これは文字通りの良い意味で)

シナリオライターが本職ではあるが、
本作ではスクリプト担当であり、円氏が尊敬する方でもある。
専門学校三年時には、学際で二人のみが選ばれる優秀者の一人であった。
四年時からは講師の助手を務めたという。

詳しくは以下を参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B7%9D%E7%9C%9F%E9%9F%B3

本作公式ブログも見ておこう。

http://blog.kogado.com/shirokoi/?p=47#more-47
円まどか氏:
“白恋は医療モノではあるけれども、病院が舞台なだけで、
メインは女の子(子?)同士の友情・成長ストーリー。
医療ばかりに偏ってしまうと、萌えが薄くなってしまうので、
その辺のバランスには気を遣いました。ディレクターさんが。
私は割と好きに書かせてもらって、あとのチェックで泣いたクチです(笑)。”

http://blog.kogado.com/shirokoi/?p=427#more-427
佐倉さくら氏:
“一年前の今頃、2009年末は既に「白衣性恋愛症候群」の開発は
始まっていて、プロットをシナリオの円まどかさんと
あーでもないこーでもないと揉んでいたなあ、なんて思い出されます。”

『百合ヶ浜総合病院 再診断書』の方も目を通そう。

みやざー氏:
“なぎさは「お馬鹿」というのも口癖なのですが、私からすると「馬鹿」という
言葉にいい印象がないので、円さんに「減らして」とお願いした記憶があります。
円さんは気に入ってるようで、隙をみて入れてきましたね(笑)”

以上のもの以外に関する詳細は、各自手元の資料にて確認すること。

一部では癖があるものの、本作が基本的に優れたシナリオであったのは、
こうした様々な協力と助力の上に成り立つという事を忘れてはならない。


次に感情移入について。

資料抜粋:
(百合ヶ浜総合病院 再診断書より)


“――本作を製作するに至った経緯は、どういった流れだったのでしょうか?”

みやざー氏(ディレクター)
“それは、まず前作となる「白衣性恋愛症候群」(以下、白恋)を作る時まで遡りますね。
最初に白恋の規模を会社と相談したんですね、「シナリオがコレくらい、
登場キャラクターがコレくらい、開発期間はコレくらい、予算はコレくらい……」って。
その中で、白恋は舞台が病院ということから、ユーザーの方々は
きっと世界観に「すっと」入ってこれないだろうと考えました。”

“――確かに、いわゆるギャルゲー・百合ゲーによくある「学園モノ」ではないですね。”

みやざー氏:
“そうなんです。そういった「学校」や「学園生活」を題材にしていると、
ユーザーの多くが経験している舞台なので、授業を受けて、休憩時間があって、
お昼休みでご飯を食べて、部活をして……、なんていう流れを説明しなくて済む。
でも、白恋はご存知の通り、「医療モノ」です。病院内で起こることを体験してほしい、
こんな環境で働く女性たちのキリッとした部分や逆に人間臭い部分を知ってほしい、
という思いで選んだ題材なので、病院そのものがどういうものなのかという説明に
時間をかけて、ユーザーの感情移入の度合いに違いを生まないよう、努力しました。
そういったことから、新人の主人公が「怒られてヘコみながらも立ち直る」、
先輩看護師が、正しい・間違っているはともかくの「教育とフォロー」というシーンを、
共通ルートに多く盛り込んだんです。

(以上、26ページより抜粋)


資料抜粋:
(ホワイト・マテリアルより)


“――そういえば「白恋」は、医療の現場をリアルに描いたシーンや用語が随所に登場するのも特徴的ですね。”

みやざー氏:
“病院内の物語である程度リアリティを出すということになると、
やはり専門用語や、その場所ならではのノウハウを説明する必要がありますよね。
そこを曖昧にしてしまうとプレイ中の感覚が薄っぺらいものになってしまいます。
それに、円さんや佐倉さんの経験や個性を活かすなら、ここは必須という部分でもありました
ただ、劇中でそれをいちいち登場人物に説明させるのは煩雑ですから、
そこをすっきりさせるために、用語解説を入れることにしたんです。
見たい人だけ確認できて、気にしない人は、そのままストーリーの先に進んでもらえるという形ですね。”

(以上、98ページより抜粋)




◇結語:


構成の巧みさに加え、声優陣の幅の広い演技、
暖かみのある絵柄に、質の高いピアノ曲。

人物が記号の枠を抜け出し、血が通っていて、息遣いが感じられる。

この作品に出合えて、本当に良かった。



★後記:


以下にもネタバレを含みます、個人的感想の多くは本項にて。

まず、バッドエンドについて補足しておきます。

人間関係において単なる執着によって傍に居続けるというのは、
ある意味で最も残酷であると言えます。
お互いに相手の本当の所を見ていないという事が、選択肢によって示唆されている。
つまり全く正しくバッドエンドで、それ故に破滅的と書きました。

バッドエンド「Horizont」は、仮にグッドエンドの調子で迎えていたら、
文字通りに涙腺決壊した所ですが、そうならずに良かったと思います。
想像しただけで身を切られる思いがした程です。

それと、ラブシーンについて。

シャワーだけでは体しか暖まらないと抱き締めるはつみ。
如何に強く心配していたかが見て取れる、無断欠勤を責めるさゆり。
やすこのペンネームに込めた想い。

これら三つが印象的で、特にシャワーのくだりは実に良く練られている。
シークエンス(一連のシーン)も含めて素晴らしい。

次に、構成についてです。

仕事の部分が多いかも知れませんが、
職務に対する姿勢などがある種の記号となり、各人物の違いを浮き上がらせているので、
これはこれで良く機能していると思われます。
と言っても、医療や看護に興味の少ない方には少々退屈に感じられたかも知れません。

続けて、設定関連です。

“癒しの手”ですが、無くても物語の上で特に困る事は無かったでしょう。
とは言え、『ココロの処方箋、いりませんか?』のキャッチフレーズ通りではある。
つまり、どこか病んで見えるヒロインが、癒しの手によっても癒されたと言えるからです。

それに術後の記憶や趣味趣向の変化に関しても、臓器移植された方の症例から考えて、
脳にだけそうした機能があるとは言い切れないらしい。

物語が余り写実的にならない様にした、
あるいは上述の症例を耳にした事が無い方への配慮とも受け取れる。

さらに続けて、作風に関してです。

選択肢の難しさや、病んで見える描写やサスペンスの要素が混じっているのは、
ディレクターが『ひぐらしのなく頃に』を所謂リスペクトしている為である事が、
資料集や公式サイトでの発言から伺えます。

最後に、人物についてです。

突拍子も無い数々の行動にも、それなりの理由があります。
特に病院というストレスの多い環境ですから、
病気を抱えた患者であっても、治療に携わる側であっても、
多少の奇癖は、精神状態から考えて仕方が無いと見ることは出来ます。

主人公と、ヒロインを一人だけ見てみます。

看護師として人として成長してゆく主人公は、基本的に真っ直ぐな性格でとても魅力的です。

主人公かおりが仕事でミスをする度、当然ではありますが、キツくお灸を据えられます。
すると見ているこちらも叱られた様な気になるので、
彼女となぎさ先輩との、終業後の部屋飲みは救いでした。

物語の後半に入り、様々な事実が詳らかになってもその魅力が失われる事はありません。

高校時代は生徒会長をこなし、卒業後は帝都看護に進学する才媛。
それまでの人生においておよそ挫折を知らない優等生。
しかし看護学校卒業後は一転、都落ちと希望外の内科、そこに親友(以上の想いを抱いた)
かおりが入職して来て、初任給でプレゼントまでしてくるというのに、
あちらこちらとフラグを立てる様を見せつけられて、
二年目の指導力・実力・経験不足に無力さを感じつつ、反面追い上げて来る後輩かおり。
不安定な状況に拍車が掛かった事に招かれ魔が差した。

その上で今度はかおりを残して、本人たっての希望ではあるけれど、
問題のある外科に転属、という翻弄具合。

これだけ続けば頭の中はもう滅茶苦茶になっていて然る所。

と、終始弁明の様な形になりましたが、かおりとなぎさのカップリングが本作で一番好きです。

高校時代の話をビールの肴にして、しれっと「そんな事もありましたね~」と遠い目をするかおり、
そこにツッコミを入れるなぎさ先輩、というやりとりに思わず笑みが零れます。



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  1. 2014/07/27(日) 20:53:46|
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星彩のレゾナンス 感想/詳細レビュー

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◆序文:
(注意点、心得)


シナリオ改変におけるクレジット表記の問題に、
誤字脱字も大変多く、また主人公の声が個別ルート中の多くに渡って無い上、
いくらかカットを使い回す等、問題は幾つかある。

改変の為、同級生ルートは支離滅裂な文章が散見され、
結末に関しても所謂やっつけ仕事になっていて、概ね数合わせと言って差し支えない。
加えてスクリプトのミスもそれなりに目立つ。

しかし上述の問題を補って余りある程、本作は多くの魅力に溢れている。

改変を行ったとされているディレクターに関しても、本作を企画したという点で称賛に値する。

個人的感想は主に「後記」にて記述。ネタバレはこれにのみ含まれる。

体験版は以下でDOWNLOADタブをクリック後、各ミラーサイトにて。
星彩のレゾナンス 公式サイト



◇:攻略


プレイ時間目安:四十時間

共通ルートの終わり(プレイ開始から四時間程度)に、
学園長の質問に答え、上級生側と同級生側の二つのルートに分岐。
物語を進め、そこから更に枝分かれして行く形。

回答は一通り(完全に固定)ではないが、上級生(奈岐)ルートに入るにはこの質問において、
カリスマ性、高潔さ、冷静さ、基礎能力等を重視すれば良い。
下級生(由布)ルートに入るには、協調性、
慈愛等を選ぶこと。結果は直ぐに告知される。


ルート開放条件:

 末来:他の全ルート
 奈岐・真:末来ルート以外を全部
 縁子:上記二つ以外を全部


プレイするお薦めの順番としては、奈岐(ノーマル)、他、奈岐(トゥルー)が良いだろう。
トゥルーエンドを迎える前に、もう一度最初から奈岐ルートをプレイすると、特に感慨深くなる。



奈岐:

 一, 能力
 二, 殺生には変わらないので抵抗がある
 三, カリスマ
 四, 状況に即した対応をとる
 五, 避けられないならば全力で戦う
 六, 奈岐の部屋に向かう (もう少し考える → 八弥子ルートへ)
 (以下の選択肢は真ルート開放後に現われる)
 七, 恵の星霊石を取る
 八, 二人の星霊石を取る
 九, 星霊石を渡してもらう


八弥子:

 (奈岐ルート六から分岐する)
 一, もう少し考える
 二, 八弥子さんと相談する (末来さんと相談する
→ 末来ルートへ)
 三, 今は寮に戻る


末来


 (八弥子ルート二から
分岐するが、途中まではシーンの差し替え)
 一, 寮で末来さんを探してみる


由布:

 一, 慈愛
 二, やらなければならない義務
 三, 愛情
 四, すぐにでも助けに行く
 五, 避けられないならば全力で戦う
 六, 誰にも会いたくない (
誰かと過ごしたい → 恵ルートへ) (誰かに見られている → 真琴ルートへ)
 七, 部屋でゆっくりかな
 八, 由布って可愛いと思って
 九, 絶対に仲良くなんかならない (妙にモヤモヤする → 縁子ルートへ)
 十, 声をかける
 十一, とりあえず、寝顔を見る


恵:

 (由布ルート六から分岐するが、途中まではシーンの差し替え)
 一, 誰かと過ごしたい
 二, たまには部屋で勉強かな
 三, 何となくだよ、別に見てたワケじゃ
 四, 絶対に仲良くなんかならない
 五, やっぱりやめておこう
 六, 何もせずに寝よう……


真琴:

 (由布ルート六から分岐するが、途中まではシーンの差し替え)
 一, 誰かに見られている
 二, 明日にならないとわからないよ
 三, 可愛い人
 四, 何となくだよ、別に見てたワケじゃ
 五, ちょっと待って


縁子:

 
(由布ルート九から分岐するが、途中まではシーンの差し替え)
 一, 気分転換に部屋から出る


バトルパートのコツもいくつか、ハードモードでも通用するように。
まず、説明書を常に傍らに置いて、技名と内容を把握しておくこと。
次に、ゲームパッドを使用した際における、お薦めのボタン割り振りを挙げる。

ダッシュ:×
ターゲットロック:□
攻撃1(直接攻撃):○ (八弥子、由布、恵は、ここも遠隔攻撃になる)
攻撃2(遠隔射撃):△ (真琴、縁子は、ここも直接攻撃になる)
ガード:L1
ジャンプ:L2
スキル1:R1
スキル2:R2
PT攻撃(支援攻撃):セレクト
荒御魂解放:スタート
一霊天破(奥義):スタート

荒御魂解放時に、再度スタートボタンを押すことで、各キャラ固有の奥義が発動する。
この時、バトル前にスキル設定で組み込んでおくと、スキル攻撃もコンボとして含まれる。

ガンダムゲームで言えば、ここ数世代のバーサスシリーズに近いシステム。


ガードキャンセルを使いこなす
が肝要。
ガードボタンを押せばモーションが途中で切れる為、
硬直時間を減らす事が出来て、同時に攻撃ゲージ(通常攻撃・技で共有)の回復を促せる。
続けて、ダウン属性の技(“昇神楽”あるいは“火炎”)を出し続ける。この二つが基本の戦術となる。
(モーションのキャンセルについて、説明書に載っていない)

 

複数を相手にする時は、互いの間合いと攻撃の及ぶ範囲を、的確に把握する事が不可欠。

ダッシュ中に直接攻撃をする
ことで、
通常のモーションと違うダッシュ攻撃が発生。(これもまた説明書に無記載)
その他の攻撃でも慣性は付く。(つまり、滑りながらの攻撃になる)

誰でもいいが、ルートを一つ終えれば、次回以降はバトルをスキップする
ことも出来る。


以下の個別ルートについてだが、奈岐が全体の約三割、末来が八分、八弥子が二割、
由布が二割、恵一割、真琴一割、縁子二分ほどの割り当て。
奈岐に関しては共通ルートからそれなりに関わる為、実質全体の四割を一人で占めている。


バグについて。

相手を倒しても戦闘が終了しない場合、別ルートを先にプレイし、そのバトルをスキップすること。
何故かは分からないが、別ルートをプレイしてからだと、上述の戦闘が正しく終了した。

起動すら出来ない場合、別PCにインストールするのが良いだろう。



簡易表:


奈岐ルートは共通ルートから始まっていると言える為、
本作プレイ時間の四割を占め、およそ十五時間に及ぶ。

個別ルート内から、更に別ルートへ派生する方式のルートデザインは、
構成力が枝分かれ元に集中する
ことになる。

縁子ルートはおまけみたいなもので、本来評価対象にはならない。


末来ルートは、他の上級生ルートが前提となっていて、
単独で見ると薄い上、情報が圧縮されて押し込まれている。
故に、脚本としては秀でてはいないと考える。いわば解答編と言えよう。



脚本
 (what to tell 何を描くか)

奈岐
末来
八弥子
由布

真琴
縁子
物語

C-B-DD-D
E-
構成

CC+
D+
D-D
E-

(※一.物語とは、世界の変革、個人の心境変化、それらの変化量。描出すべき事象の過不足の無さ)
(※二.構成とは、物語を描く為の適切な場面の配置、伏線、
起伏、溜め、ミスリード、小道具の使用等)


演出
 (how to show どう描くか)

奈岐
末来
八弥子
由布

真琴
縁子
脚本的

B
B+
B-
D+
B-
E
作画的

B
B
C+
C+
C+
C+
音響的
A-
B
B
B-
B-
B-
C+
スクリプト
B+B
B
B-
B-
B-
C+

(※一.脚本的演出とは、見せ場を指す。出会い、別れ、愛情、信頼、危機、対決、和解、真実の劇的発露)
(※二.作画的演出とは、印象的な絵。構図、背景、表情、所作、衣装、色、光、象徴、対比、レンズ効果等)
(※三.音響的演出とは、音楽と効果音の使い方。挿入歌は含むが、演技とシステムボイスは含めない)
(※四.スクリプトとは、画面効果を指す。アイキャッチ、ワイプ、暗転、立ち位置や表情の変化等も含む)




◆脚本:
(シナリオ、構成、テキスト、表現)


件の改変があったルートに関して本項では言及しない。「他」項にて詳述。

共通ルートからトゥルーエンドまでの一本を「メインルート」と呼称。

メインルートの全編に渡って、
精緻に配されたシーンの数々には思わず舌を巻いた次第。

ファーストシーン、主人公の動機が説明された後、老婦との他愛ない会話に続く急転。
個人に流れる時間における、早さの対比がまず以って見事。

伏線もさり気なく気が利いていて、会話の中にそれとなく含みを持たせている。
二回プレイすることで、この繊細な仕事が浮き彫りになる。

物語開始直後、海の香りが漂う文章は、
実際に肌で感じて来たかの様に生き生きとしている。
その後も、森や洞窟の描写に造詣の深さを感じさせる事がある。

情景描写、植物、鉱物、化学反応においてもそうだが、
充分な取材力(題材や各シーンを描く為に必要な知識の摂取)と、それを扱う技量を兼ね備えている。
またこうした知識(設定)を、蘊蓄(うんちく)がましくならない様、適度に配されている。

主人公が“力”を初めて行使する時の、時間の引き延ばしは、
読み手に変化を受け入れるだけの猶予を与えてくれた。
(引き延ばしとは、スローモーションではなく各人物による視点)

本作は伝奇であり、異形の存在として“穢れ”と呼ばれるものが存在する。
類で言えば一つのみ、種を細かく分類すれば三つに大別されるのみだが、
メインルートでは形態的側面、行動的側面、発生的側面について、包括的に調査を進める。
幾百の生物を表面的になぞるより、存在感の点では遥かに勝る。

脚本的演出の一つとして、あえてこちらに書く。
メインルートでは、ある部屋(の明かり)が心の象徴として用いられている。

寮の部屋背景を使い回した事による、美術面(小物類)での不自然さを、
“私物持ち込み禁止”の設定で緩和している。
(ここで言う不自然さとは、生活感や個性が無いという意味)

序盤や中盤にかけて、甘い時間があっても長続きせず物足りなく、
全く以って口説き上手な脚本である。

個別ルートはかなりの部分を主人公と相手の一対一で進む為、関係が濃密に描かれている。

只、分岐のタイミングと尺の関係から、メインルート以外は構成に無理が生じている。

要するに、足りない時間の中で関係を押し進める為、
心境の変化等を細やかに描き上げる余裕が無かった。

加えてサブヒロイン的な方が絡んで来たり、行為の描写に注力したりと、
物語部分が多少だが等閑になってしまっている。ラストバトルの件も、主役交代の様な形に。

制作期間(予算)に余裕があったならと惜しまれる所。

誤字脱字について、メインルートで五十回前後、そのほとんどは助詞。
こういった所からも、制作に余裕が無いのが伝わって来る。

そこまで難しくもない常用漢字に読み仮名を振る反面、
難読漢字にはそれがなされていないのは少々問題。
台詞にそれを振る労力もまた、そちらへ回した方が良かったと思われる。

シナリオにおけるゲーム性の役割について。
アクションゲームで実際にキャラを動かす事を通じて、 感情移入(自己投影)が強化される。
その結果、プレイヤーのシナリオに対する没入度が増すことになる。



◇演技:


主人公の声が無い箇所はどうにも掛け合いが物足りない、
少なくともラストシーンだけは絶対に収録して頂きたかった。
画竜点睛を欠いているとまでは言わないが、盛り上がりに欠ける。
(ラストと言うのは、後日談の事ではなく本編の)

ヒロインは皆、本作の数多ある名シーンを彩ってくれた。棒読みも無し。

息遣いの音量が小さめな所はリアル。

下世話ではあるが、行為中における主人公の声の諧調が細かく華奢で、
聞いていて非常に心地が良い。

桜川未央氏の演技は、二人の人物を二つの時代で、累計四人分を演じ分けていたのは見事だった。



◆演出:
(スクリプト、画面作り)


ファーストシーンからして、演出に手を抜かないであろう事を予期させてくれた。

具体的に言えば、パン(カメラ視点の横移動)、ティルト(カメラ視点の縦移動)、
ズーム、フェイドアウト(徐々に黒く、あるいは白く等)、シェイク(画面を小刻みに揺らす)等。

立ち絵においても、跳んだり座ったり、
歩み寄ったりする毎に動かし、実に細かい所まで行き届いている。

場面が変わる際も場合に合せて
ゆっくりとディゾルブする(溶け込む)様に転換する為、眼に負担が掛からない。

回想にも手が加えてあり、使用回数も最小限で無駄が無い。
その上、時に伏線があった事も再認識させてくれて、二重の効果を上げている。

“血カラ”のカット、画面後方の強烈な歪曲収差がその歪さを際立たせている。
(カメラのレンズに現れる様な歪みを、背景に特殊効果として使用しているという事)

強いて難点を挙げるなら、力場のエフェクトを色違いで流用した程度。



◇作画:
(キャラクターデザイン、原画、
塗り)


衣装にはそれぞれ個性が出ていて良い。
装束にも和のテイストが含まれている物などもあって個性的。

人物設定の名残の様なものを感じさせる所があり、興味深い。
特に炎属性の二人の装束について。

瞳に強さを感じる絵は好印象。顔立ちは猫系、特に驚いた表情に顕著。

数人だけではあるが、目を閉じた時のまぶたの影に違和感があって、人形の様に見える。
腰のラインに違和感を覚えたカットが一枚あった。胸はいわゆる乳袋で、賛否が分かれる所。

ある人物の若い頃の姿が見られたのは嬉しかった。



◆音楽:


夜想曲の様なピアノが耳に優しい。
物語上、幾度も殺伐とした状況に駆られたが、その度に安らぎを与えてくれた。

メインルートにおいては、どの曲の使われ方もほぼ全てシーンにマッチしていて、
様々なドラマを生み出すのに一役買っている。
シークエンス(一連のシーン)の間に一曲を使い続けた箇所等もあり、切り替えが的確。
特定の数曲を、ほぼその場面専用に用いているのも、場面を強く印象付けるのに貢献している。

楽曲集のダウンロード販売を願いたい。もちろん、圧縮音源ではなく。

予算の都合や配分にもよると思うが、曲数は若干少なく(二十曲ほど)、各人物のテーマ曲と、
ライターである西村氏の作詞による、奈岐専用のエンディング曲(歌)があれば万全だったと思われる。



◇効果音:


アクションのシーンが多い為、臨場感を出すのに一役買っていた。
これも細かく配慮が行き届いていた。

水飛沫(しぶき)の音、森を駆ける足音、爆発音、
武器の激突音、銃声、氷の砕ける音など、枚挙に暇(いとま)が無い。

変身の際には、是非特徴的な効果音を入れて頂きたかった。
(簡易的なものが付せられていた場合もある)



◆背景:


都会では見られない様な、美しい星々が印象的。

使い回しが中盤辺りは多いのが少々残念な所。具体的に言えば、森と海岸。
とはいえ質に問題は無く、共通ルートまではむしろ多く感じたくらい。

個別CGでは、画面手前にピントを合せない被写体を入れて遠近感を出すカットが多かった。

どれも質は高く、立派な商業クオリティだ。



◇システム:


およそ必要なもの全てを兼ね揃えている。テキストウィンドウも見易くて良い。

画面解像度を複数から選択可能、人物の個別音量調整も付いている。

次の選択肢までのスキップ機能があればという所、
とはいえその数自体が少ない為、さしたる問題ではないだろう。

唯一の欠点は、ロード後にバックログが消えていること。



◆他:


タイトルの意味については、考察サイトを参照。

バトルにおけるグラフィックもそこそこ綺麗。(PS2中期レベル)
若干単調ではあるけれど挙動は滑らかで中々に爽快感がある。
一般ゲーム以外の百合作品でここまでやってくれた事に驚きを禁じ得ない。

ただしグラフィックスカードが無い場合は、満足に描画することは出来ないだろう。

マスコットであるガジも大変可愛らしい。

雑学的な面に関して違和感を覚えたのは、以下の一つのみ。

六月に脂の乗ったカツオは一般的に手に入らず、冷凍物である可能性がある。
カツオに関しては筆者の勉強不足かも知れない。


言うまでもなく、現実と全く同じである必要がそもそも無いと言えるが。


以下はメインルートに関わるものでは無い為、読み飛ばすことを推奨する。

さて本項で、改変されたと思われる文章に見られる特徴を少し挙げてみたい。

譲歩構文(~であるけれど…)の用法について、
一つの文中にこれらの従属節が複数あって、意味が通らない。
理由(~なので…)に関しても同様。

主語や目的語が、明白であっても省略されておらず、かなりくどい。
述語の対象や主格が変わらないなら、基本的に一回で事足りる。

三点リーダ(…)が乱用されていて、非常に読みにくい。

構成やテキストについても若干指摘したい。

情報量の少ない日常シーンに重きが置かれ過ぎていて退屈。
人称(視点)の移行も結構多く、さしたる効果も無い。
回想の使い方も拙劣で、ほとんど効果を挙げていない。単語選びのセンスも奇天烈と言える。

しかし唯一の美点として、悲劇の描出には目を見張るものがあった。
これらは、上記の「簡易表」にて、由布・真琴ルートの脚本的演出として評価した。

数多の名言(迷言)を生み出した独特の感性は、ある意味で注目に値する。



◇結語:


主にメインルートは、百合ゲームに予想されるクオリティを大きく上回った素晴らしい出来栄え。

メインシナリオは隅々まで気が回っていて、この上なく丁寧精妙、非常に洗練されている。
設定は主に神道と古事記から着想を得ている。
それを島という空間性から生じる解釈の相違として、上手く練り直し物語に活用。
戦闘の描写に無駄がなく、戦術にもアイディアがある。
人物も時に見せる仕草に幾度と無く心を鷲掴みにされた。
少しづつ繊細に関係が近づき、時に衝突して一度下降してからの飛躍。
小道具の使い方も真に素晴らしい。
メインルートはあらゆるシーンが自然に感じられ全く無理が無い。
“奈岐が持ったリュックに手をかけ、重さを半分にした。”
一見すると違和感を感じさせる表現であっても、そこには確かな意味が込められている。
全霊を以って事に当たったであろう真打ちの筆致である。
しかし本当の意味で絶技と言えるのは、物語を成立させるのに必要な情報を、
各シーンに適切な塩梅で配してあるという点だろう。

音楽もピアノを中心に質が高い。作画に違和感を感じた箇所はほとんど無い。
演技に棒読み等も当然無い。背景も上質。システム周りも十分。バトルパートの技術水準も低くはない。

本作を世に出された事に感謝致します。

最後に、本作の登場人物から功労者を一人選ぶなら、三輪縁子です。
主人公に対し、他所者で歓迎されていない事を示す洗礼を浴びせ、
加えて島の風習や価値観を体現、清涼剤(ネタ)の提供、
何をしても返り討ちに遇ってしまう可愛らしい(?)ところ、
本作を縁の下で支えてくれた彼女に、惜しみない拍手を送りたい。



★後記:


以下には極めて私的な感想と、ネタバレ多数なのでご注意下さい。

まずは主人公である鼎についてです。

物語序盤、一度学園を追い出されたその足で
また学園に潜入を試みる辺りで、主人公として魅力を感じ始めました。

終盤に明らかになる出生の真実、両親共に巫女の純粋血統なら破格の才能も頷けます。

二回目をプレイした時には、末来さんの視点で見ていると、
序盤の二人のやりとりに目頭が熱くなることがありました。

未来との再会を見て、心が張り裂けそうでした。
七年ぶりとあって母の前では幼い子供も同じ、鼎の悲しみの咆哮には胸を締めつけられた。
(重ねて言いますが、音声が入っていない事が悔やまれる。ここで挙げたのはノーマルエンドの方)

奈岐に関しては、特に見鬼の下りが良かったです。

部屋を尋ねる前に一度物語を綴じ、
鼎になった様な気持ちで暫くどうするべきか考えていました。

ところがいざ始めてみると、奈岐の側で状況を眺めていて、
気が付くと頬が濡れていました。

奈岐が最初に鼎の頭を撫でようとする辺りから、
本作に触れるのが楽しみで仕方がなかったです。

パジャマ姿の奈岐を初めて見た時は、思わず笑みが零れました。
本人のクールな外見に、着ぐるみのファンシーさが
可愛さを何倍にも増幅していて、完全にハートを射抜かれた次第。
フード姿の時点でも相当に揺さぶられましたが。

物語が進み行為に入った時も、特にその前半部は、
体に触れているというより心に触れているという感じが強く、
これこそ百合の真骨頂であると思いました。

この時、場所の選択と使い方も非常に上手く、
それまでの丁寧な下準備と併せて、シーンが極めて精巧に練られている。
まるで硬直したかの様に眼前のドラマに視線と意識を釘付けにされました。
(内面的描写の妙を加え、行為を超えてドラマの域にまで達している。
少々自分でも何を言っているのかと思いますが、筆舌に尽くし難い程に惹きつけられたということ)

奈岐が髪を下ろした姿には思わず息を呑みました。
あの瞬間、胸の奥に形容し難い何かが迫ったのを感じた。
魂が歓喜したとでも言い表したい。

フィールドワークにテキストワークをこなす才気煥発。
生い立ちと自身の能力、周囲の畏れから生ずる厭世的な所がありながら、
半ば一方的ではあっても、気を許した相手の幸福を望む。
遂には自己超克に至り、愛する者に正面から向き合う強さを手にする。

鼎と奈岐のカップリングが一番好きです。
少しだけ奈岐をからかった後に、ペースを合わせてあげる鼎、
という掛け合いが微笑ましくて、知らずと頬が緩みます。

願う必要などは全く無いけれど、二人が永遠に幸せでいますように。




For foreigners:


Honestly speaking , "Seisai no Resonance" is truly what I wanted for a long time.

I think that Kanae and Nagi are the best couple.

I recommend this to people who like yuri and action games ,
but this work have a few problems.

Half of this work are full of odd sentences and poor ends
which are considered to have been written by the director ,
yet the half have not the problems.

The latter’s sentences are concise, short and fine writings.
To see the true ending , you need get through most of the scenarios.

The battle systems of this game are reasonably good quality in adult adventure games.
Any attack actions can be cancelled by taking guard motion.
Do not forget that a game pad is needed to play comfortably.

These are DL seller's link.
http://www.getchu.com/soft.phtml?id=745394
http://www.d-dream.com/detail.php?arg_tno=10556

Finally , yuri-gamers are now only a minority , therefore we need also your power to buy.


Regards.


S0420920.jpgS0310622.jpg







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  1. 2014/07/27(日) 20:41:57|
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Author:月桂樹
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大変お手数をお掛けしますが
ブックマークの変更など
よろしくお願い致します。




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・一周目は障害物を無視
・〃好きな武器を使用
・アップデートを適用
・サイドストーリーを
DLCで購入

ヴァルキリードライヴ:
楽しむコツ
デフォルトのペアで
クリアランクSSを取り、
初回からオーダールート
に入ること。
対象ステージはDrive
01~04、12~16
詳細は攻略サイトへ

星彩のレゾナンス:
楽しむコツ
初回に奈岐ルートに入り
プレイ意欲を確立する。
下級生ルートは流し読みで。
ゲームパッド使用推奨。
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