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アカイイト 感想/レビュー

S0051061.jpg

「偽レビュー」
を本稿最下部に付した、
知性の欠落した批評の一つとして例示したものである。


◆序文:
(注意点、心得)



今回の序文は例外的に他より長い。本論評の重要な点は、この序文に大体記した。
しかし、これは作品の媒体に踏み込んだ内容な為、一般向けではない。

また、自分で決めたとはいえ、限られた中で多くの事を語ろうとすれば、抽象論に終始する事は避けられない。
本項後半部は若干の比喩を交えるが、そうしない場合、娯楽作品の論評を超える事になる。
故に、厳密性を欠いた記述になるが、それでも充分に本稿の目的は達成されるだろう。

先に、本作の姉妹作であるアオイシロのレビューを行った為、
基本的な事柄は、そちらの「序文」でおよそ済ませてある。


簡単に言うと、
『アカイイト』は『アオイシロ』に比して無駄が少ないが、
シナリオが短く、演出も一歩劣る。あるバッドエンドの良さだけが際立っている。

以下、『アカイイト』、『アオイシロ』の両者それぞれ「アカ」、「アオ」を略称とする。

さて、本稿で直接に作品の内容に触れるのは、「脚本」、「他」、「結語」の三項のみ。

「アカ」の本質は作品全体が一枚の絵の様である、というよりは、一遍の詩であると結論付けたい。
それ故、あるバッドエンドがタイトル名になっているのだと、筆者は考える。
前者は「アオ」の方が、より相応しい仕方で描かれていた様に思う。

これ以上ここでタイトル名の考察を行うつもりは無い。
考え得る可能性を列挙するのはファンのするべき事だ。
しかし、一応「他」項にて三つの意味を挙げておく事とする。

「アカ」は「アオ」に比して、シナリオの分量が半分程度に過ぎず、物語としての動きが小さい。

本作は詩の意味を自ら読み解く様に、 自分の頭の中で物語を補う必要があり、
ある意味で上級者向けと言える。 どんな作品でもそれは共通だが、この作品は特にそれが強く求められる。

詩を読んで心が動かされた事があるなら、短いシナリオでもおそらく感情移入出来るのだろう。

本稿では例外的に、物語への関心や没入を“感情移入”と呼ぶ。
他稿においては、“自己投影”と区別しない。

まずは、本作のシナリオ形式と感情移入について。

言うまでもなくどの作品でもそうだが、一度全ての物語を見た後に、
作品世界の情報を把握する事が出来る。そして
二回目に作品に触れる際、
物語の創造主に近い視点で、作品を俯瞰出来る。

物語の欠片を紡ぐパズル的なシナリオに、筆者は興味が無い為、
本作のシナリオ構成には大した値打ちは見出せなかった。
無論、二週目以降にシナリオを俯瞰する事は興味深いが、それとは比較にならぬ程に初回の印象が大事だ。


ある物語が、他の物語を通じて初めて核心へと
至らしめられる様な
シナリオ上の重大な欠損が多くかつ短い内容では、感情移入までは届かない。
<あの人は誰だったのだろう>、<あの出来事は一体何だったのだろう>という疑問が、物語への没入を妨げる。
(反面それらの疑問が、読み手の知りたいという動機付けの装置にはなっている)

無論、それらの疑問が断片的情報からでも推論(推理)可能であれば、問題ではない。
だが本作はそうした作りではな
。当然、それが意図的であった事は承知している。

物語の世界に自分が入って行く事が出来なければ、そこで何が起ころうとも、結局は他人事に過ぎない。
感情移入が浅ければ、他者の死にすら心動かされる事は無く、
反対にそれが成されれば、掠り傷にすら憐れみを覚えるだろう。


基本的に、主人公への自己投影を通じて、我々は物語世界の一人となるのである。

次に、本作最大の欠点とする蘊蓄(うんちく)総評を行う事としよう。

物語の理解や没入、世界観の演出に必要な所までの蘊蓄は、むしろ美点である。
本作の問題は、それらが不必要な程、過剰に盛り込まれていた事にある。
特に“用語辞典”内の無駄があまりに多い。
食品の効能まで説明するのは過剰の産物としか言えない。

以下で少々小難しい話をするが、身構える必要は無い。
最後まで読めば、筆者が両作の蘊蓄に辟易する理由が解かるだろう。

蘊蓄好きの方々には少し失礼かも知れないが、一応ここで述べておこう。
高尚なものに触れている者は優れている。自分は高尚なものに触れている。よって、自分は優れている。
という様な思考形式が、本作の蘊蓄を褒めて止まない人々に共通して見られる特徴であると、筆者は考える。

プレイヤーの学問的素質が、純粋な文系かつ応用系の場合は、
本作の蘊蓄は心地良いものなのかも知れない。
言わば精神的な近親関係に、親しみを覚えるのだろうという事。

ライターの興味が最も注がれているのが、比較神話学という、
人工物に過ぎぬ神話を対象とする、帰納法を主体とした学問である事が挙げられる。

それはつまり、時間と空間を隔てているにも関わらず、同じ様な形式の話が各地に見られるのは、
人の考え方には共通するものがある、という様な事を追及する学問である。
また、神話に良く見られるテーマや性質を見出す事もその一つ。

念の為に言うが、厳密な定義と役割を取り決めるのは、専門家のすべき仕事だ。

蘊蓄と一口に言っても、語り方次第では興味が惹かれる事もあるものだが、
本作の手法には倦怠を感じるばかりだった。例えば、“分霊”(わけみたま)について独自の深い考察等は無く、
ガイドラインに従って授業するだけの、退屈な社会科教師に毛が生えた程度と言える。

“分霊”に関しては後述する。

“夢”に関するくだりに、六十行以上かけてなるべく平易に伝えようという努力や、
認識論に軽く触れてみせたりする事が数回はあったが、
概ね比較神話学や民俗学的な蘊蓄がメインな為、それ程見るべき点は無かった。
またそれらに関して特に作中で調査を進める訳でもなく、
ほとんど“用語辞典”や会話で聞かされるだけで、正直に言って眠くなってしまった。

例えば、本作には無関係だが、<攻撃は最大の防御>という孫子の良く知られた言葉がある。
しかし数十年前に発掘された銀雀山竹簡では<最大の防御は撤退>と訳されるのだという。
読む者の解釈によっては、前者でも役に立っただろう為、今日まで疑う事すらなく伝わったのかも知れない。

こうした簡単に揺らいでしまう様な、見せかけの知識の集積に、どれほどの価値があろうか。


比較神話学に可能なのは、普遍を目指す事だけで、普遍に至る事ではない。
自然の事物や数学とは異なり、芸術を含む制作物に、本来的な普遍則は無い。

重ねて言うが神話の比較からは、例外が存在する以上、普遍には至らない。
神話の間に、多くに渡って似通った点がある、という事が得られるだけだ。
“神話”を作り出した者は、それが“神話”であるという自覚が無い為、創作としての規則すら無い。

繰り返し述べるが、比較を止めて一つの神話に着目しても、
芸術的創作として扱うなら普遍へと至る事はない。

明確な論理を持たぬ神話が、普遍である真実を語ると見なすのは、
神学的に取り扱うという事だ。聖書に正しい解釈を与える事によって真実と成す様に。


これを正しく行う事は、人生の全てをそれに捧げる程の研鑽が求められよう。
当然それは、比較神話学の範疇からは外れている。真の総合学問というべき大業である。

その仕事は、論理の明確化、自然(法則)の研究と、その為の道具となる学問、
単純な比較を超えた真の類比、演繹に因っては得られない真の信仰を通じて導かれる。

上記が具体的に何を指すのかはあえて言明しない。また、十全に示す力は筆者には無い。
境遇の問題もあるが、素質のある者は放っておいても求めるだろう。
(筆者はそうした事業に着手している訳ではなく、無論、神学者でもない)

一応注意を喚起しておくが、偽の信仰を利用する狂人の群れに加われという意味ではない。

さて、ここで先述した
分霊”について触れておこう。以下で言う“魂”は、ある種の比喩と考えれば良い。
分霊”と聞くと、植物の魂に関する考察を筆者は思い出したが、
本作はそういった思索はなく、知的好奇心を刺激される事は皆無だった。
折角だからここに軽く挙げておくと、本作における
分霊の概念は、
挿し木や接ぎ木によって、分かたれた植物が生命活動を続けるという事と類比的である。
昔の話だが、植物等の持つ等質な魂の考察は、寝食を忘れる程の知的興奮を覚えたものだ。

最近また話題に上った、髪の毛から複製個体を作るというのが、
本作の用語辞典内にあった“西遊記の孫悟空”が髪から分身するという事に近いが、
髪に遺伝子情報は存在しないから複製は不可能である。
毛根部に付着した細胞に着目しても、これは抜けた際に死んでいる為、これも不可能だ。

またしても注意しておくが、これらは着想の問題であって、作り話で真実を語れ、という意味ではない。

おそらく当時の人は以下の様に考えたのかも知れない。
髪の毛は草の様に視える為、植物と同じ性質を持ち、そこから同一個体を生みだし得ると。

故にそこから着想を得て、“西遊記の孫悟空”の分身技が考案されたのであると、筆者は考える。

物語における自由な発想には、時として驚かされる事もあるが、大体は荒唐無稽で無意味だ。
神話を含む作り話は純粋な学問的対象にはならない、娯楽として楽しむのが妥当だ。
普遍へと至らない比較神話学は、失礼ながら、退屈な似非学問に過ぎない。

そうした似非学問を元にした、本作用語辞典の過剰な充実さには、この上無く辟易させられた。

念の為に付言しておくが、筆者は科学万能主義者ではない。

ここで結論としよう。

シナリオの理解に不可欠な知識を、物語の中で
、相応しい時に、然るべき場所で、
適切な仕方において、必要十分な分量で配する事が、娯楽作品における正しい蘊蓄の在り方である。

そして、それら多くの点において、本作は満たす事が無かった。

これが『アカイイト』、『アオイシロ』両作の蘊蓄に対する筆者の基本的評価である。

シナリオ形式についても、本項前半部で述べた通りである。

以上を以って、筆者が本作に高評価を与えられぬ理由が示された。



◇攻略:


プレイ時間目安:二十五時間


以下を参照の事。ただし、「赤い縛め/三日目/夜」の封印については、
そのキャラのグッドエンドを最初に終え、残りを上から順番に攻略して行くと、解除出来なかった。

ユメイルート「だけど彼女達だって可哀想」選択 → 葛ルート「割るのは忍びない」選択の順番で解除を確認。

http://kpf.rejec.net/ak_play.html

本作をプレイする上で大変お世話になりました、この場にて管理人様に感謝致します。



簡易表:


ノゾミルートは、ほぼ完全に他ルートの情報が前提となっている為、
単独でプレイした場合、「物語」と「構成」
はE-、脚本的演出」はD+となる。

脚本 (what to tell 何を描くか)

烏月

ユメイ
サクヤ
ノゾミ
物語
C-CCBC
構成
CCCCC

(※一.物語とは、世界の変革、個人の心境変化、それらの変化量。描出すべき事象の過不足の無さ)
(※二.構成とは、物語を描く為の適切な場面の配置、伏線、起伏、溜め、ミスリード、小道具の使用等)


以下にある
烏月ルートの脚本的演出と作画的演出は、あるバッドエンドに起因する。
エンドタイトル自体がネタバレに当たる為、「結語」の項にて言明する。

演出 (how to show どう描くか)

烏月ユメイサクヤノゾミ
脚本的
A+B-BB+B-
作画的
AB-B+B+B-
音響的
A-B+B+B+A-
スクリプト
AAAAA-

(※一.脚本的演出とは、見せ場を指す。出会い、別れ、愛情、信頼、危機、対決、和解、真実の劇的発露)
(※二.作画的演出とは、印象的な絵。構図、背景、表情、所作、衣装、色、光、象徴、対比、レンズ効果等)
(※三.音響的演出とは、音楽と効果音の使い方。挿入歌は含むが、演技とシステムボイスは含めない)
(※四.スクリプトとは、画面効果を指す。アイキャッチ、ワイプ、暗転、立ち位置や表情の変化等も含む)




◆脚本:
(シナリオ、構成、テキスト、表現)



まずは、シナリオ全般について。

「アオ」に比して、シナリオの分量が半分程度に過ぎず、
十分な感情移入が成されぬままエンドを迎える。
筆者の基準では、「アオ」も決して十分では無かったが。

サクヤルートは、遥か昔まで夢の形で振り返る為、それなりに物語としての幅が生じていた。
また、ノーマルエンドの一つに、続編が作れそうな面白いものも一つあった。

ユメイルートは、ファーストシーンから伏線を配しているのが功を奏していた。

ノゾミルートは、脚本的演出としての<
真実の劇的発露>自体を、外伝短編作としていた。

全体的にどのルートも、起伏はそれなりにあるが、溜めがまるで無い。
蘊蓄によって、勢いまでもが削がれてしまっている。

次に、諸々の描写について。

郷土資料館で蘊蓄を語るのは、上手く場所を弁え(わきまえ)ている。


夜闇の中で主人公が、達人の剣撃を全て見破るのは、かなりの違和感がある。
その内の一つは、時代劇をテレビで見ていた事が理由とされていたが、無理があるだろう。

月明かり程度の室内、敵対者が寝床に忍び込んだというのに、
その者が着ている着物を、“鳩羽鼠”だと的確に判断する余裕があるのも不自然。

一つのルートだけだが、出会って数日で好きになるというのは、少々気が早いかも知れない。
同様に、任務以外でヒロインが命を懸けて主人公を守ろうとするのも、
無論境遇の問題もあるが、個人的にはさほど納得出来なかった。

続けて、ギャグやネタについて。

物語冒頭、駅員のボケっぷりが和ませてくれる。

主人公が落語好きという事もあり、ギャグに良いものがある。
親友の留守電ネタ等は特に笑わせられた。

例えば、納豆を食べた後の会話中に、以下の様な小噺(こばなし)を始めたりする。
まさかの掛け合いネタには良い意味で驚かされた。

“「相手方だけじゃなく、ひもじさと戦わなきゃいけないからねぇ、
まめまめしいだけじゃ駄目だよ。粘り強くいかないと」

「へぇ、それでねばねば糸引いているわけですかい。そいつぁ納豆食ってもんですねぇ」

と、いくら納豆話でも、後々に引くのはこれぐらいがよろしいようで。”

他には以下の様な一幕も。

“「私が鬼を切らなければ、誰かが鬼に喰らわれるからね」

喰われ――


という台詞と内面描写の直後に、主人公の腹の音が鳴ったりもした。

主人公の味覚、アイスに醤油というのは正直どうなのだろうか。
(劇中で直接には描かれず、言葉の上でのみ)

用語辞典を利用した天丼ギャグも面白い。

テキストについて。

常用外の漢字が「アオ」より極めて少なく、比較的読み易い。読み仮名を振る事も多かった。
辞書を引く程の難読漢字は数十回程だっただろうか。誤字や脱字はさして多くは無かった。


不要な蘊蓄と必要な蘊蓄が判然とせず、読むのにかなり手間取った。
無論、「アオ」の様な常軌を逸した程の量ではないが。

修辞技法にこだわりがある一方、回りくどい表現も散見された。シェイクスピアなら冷笑しそうな所。
異なる場所と時間でも、ルートによっては同じ台詞が流用されていた。

“生臭い鉄の臭い”という表現があったが、それは“酸化鉄(Ⅱ)”を触媒として
皮脂の脂肪酸から発生した“1-オクテン-3-オン”である。
鉄自体が臭いを発している訳ではない。言うまでも無く、鉄(Fe)と酸化鉄(FeO)は別物。

“大切な人がいなくなってしまった”の記号的用法は見事だった。思わず拍手しそうになった程。



◇演技:


様々な表情を見せたと言う意味で、やはりサクヤのそれが最も記憶に残っている。

それと、「アオ」もそうだが、壮年期の方が居られると締まるものがある。



◆演出:
(スクリプト、画面作り)


カメラワークが丁寧。パン(横方向)、ティルト(縦方向)、
デジタルズームの後に高解像度のアップ画像に切り替え、シェイク(画面を揺らす)等。

主人公が叱られる際に雷が落ちたのだが、天気の方でも同時に雷が落ちるというのは良い。

テレビ番組的な画面割りが面白いが、折角の良い雰囲気に水を差す。
画面の中に小さく別の画面を映す手法の事。

回想を三回続けた、フラッシュバック的な用い方は良かった。
ただし、概ね画調がそのままであるのは工夫が足りないと言える。

バトルにおけるエフェクトの数は相当な数に上るだろう。
他のものも、ここに挙げた数倍はあったはずだ。

後作の「アオ」では、更に磨きが掛かっていた。



◇作画:
(キャラクターデザイン、原画
、塗り)


本作は2004年の作品だが、目のハイライトに赤色で縁取りがなされている。
キャラにもよるが、外目角におけるまつ毛の緩やかなカーブは、個人的な好みに合致する。
力強い線は好印象。
携帯電話の待ち受けが大変可愛らしい。

立ち絵の塗りは若干ベタ塗り気味。

黒尽くめの
烏月がクレープを手にするのは、何とも言えない絵面の良さがあった。

どのルートも二枚前後、目に焼き付いて離れないものがあった。特に
烏月。



◆音楽:


「アオ」と違って挿入歌が無く、少々だが盛り上がりに欠ける。

PS2の容量だと、高域が欠けて鮮度が良くない。
色々と問題はあるのだろうが、PC版を出されると良いだろう。



◇効果音:


場合によっては、的確に左右チャンネルへ音声を割り振るのは良い仕事。
当然ではあるが、電話の際に高音(約3000Hz以上)をカットしている。

ドアノブを回す音、タオルを絞る水音、クラクション、雷、雨、群衆のガヤつき、
走る音と歩く音に複数のパターン、鼓動、風、鈴、植物のガサつき、
電車の揺れ、バスの発進音と停車音、食器のカチャつき。
ふすまを開ける音、時計のチクタク音等、他にもまだまだあっただろう。

擬音も良い。“キラーン!”、“ポンッ!”、“ピヨッ!”他多数。

携帯電話を取り出す際に付せられる効果音が、刀のそれと同じである事に違和感。
井戸の壁を蹴る際、ハリセンで叩く様な音で不自然だった。



◆背景:


月で間を取る事が多かった。デジタル撮影に定評があるとされている
J.C.STAFFが担当している為、どれも良いものだった。



◇システム:


直ぐに切ってしまったが、システムボイスは中々面白い。

一般的に必要な機能は大体揃っている。

ロードするとバックログが消えてしまうのは難点。
次の選択肢までのジャンプ、
クイックセーブ、クイックロードが無い。既読箇所の一部がスキップ出来ない。
ショートカットボタンの割り振りが変更出来るなら、チュートリアルがあると良かっただろう。

割り振りに気付かないと、用語辞典まで最短で七回もボタンを押す事になる。



◆他:


バッドエンドがグロテスクになり過ぎ無い配慮は良かった。
セーブタイトルを付けているのは良い。

アカイイトの意味は、吸血を通して血で結ばれる事、血縁、以下のバッドエンドの三つか。

烏月ルートのバッドエンドは、本作の蘊蓄という苦行に耐えた者へのご褒美と言える。

「赤い維斗」が全てのエンドの中で、最も鮮烈だった。
一度視ただけで一生忘れる事は無いだろう。

狂気の象徴として満月を背景に背負い、心を失った表情は実に印象的だった。

鬼切り役として務めを果たす中で、人としての幸福など、
願う事すら許されぬと思っていたのであろう彼女が、
最後に選んだ選択としてあの様な行為に及んだのは、狂おしくも美しい。

奥義伝承の際、最後に
信じる事が出来なかった桂では、
烏月と真に結ばれる事は無い。

しかし、赤に染まった
維斗だけが、二人を繋ぐ証となった。



◇結語:


烏月ルートのバッドエンドを除けば、「アオ」の方が多くの点で勝っていた。

比較神話学と民俗学に興味が無ければ、蘊蓄は苦行に過ぎない。
シナリオにのめり込ませるはずの蘊蓄だが、無駄が余りに多く、
反って作品に対する興味を失わせられた。シナリオの分量も少なく、十分に感情移入出来なかった。

両作共に、プレイヤーの学問的素質と、
特異なシナリオ形式を認められるかで、評価は大きく分かれるだろう。


S0233026.jpg










<不当なレビュー>にご注意を


突然こんな事を言われては、困惑されてしまうかも知れない。

以下の様な、極めて一方的かつ主観的なレビューが一部で見られる。
“個人的感想”と銘打てば、いかなる難癖を付けてもよい、という訳ではない。

どんな作品にも批判すべき点は必ずある、批判自体はむしろ良い事である。
何故なら、光だけでなく影をも捉える事で、初めてその形が浮き彫りとなるからである。
しかしだからと言って、ほとんど一面的かつ自らに都合良く解釈するのは、身勝手が過ぎるというもの。

無論、ほとんど褒めるべき所が見当たらない様な作品の場合には、
批判のみに終始する事も大いに結構。当然、礼節を守った上でなら。



以下は不当なレビューの一例である。他所からの引用ではない。
このレビューはフィクションであり、実在する、作品・人物・団体とは一切関係無い
また、作品の核心に触れる事もある為、注意されたし。

『アカイイト レビュー』 ザ・インスタント・ラブ出会って三日で恋をした(笑)~


ここがアカんよアカイイト アカ狩りアカ恥アカ信号 アカにつける薬は無し


シナリオがアカん

 「少女達の微妙な心理を巧みに描写」なんて公式サイトに書いてあるもんだから期待してみれば、出会って数日の相手の為に命を懸けて守ろうとする大雑把で粗雑な心理描写。挙句の果ては心中だ?ハッ!下らねぇ。大して相手の事を知りもしないで惚れた腫れただの中高生のスイーツ恋愛よろしく、ケータイのアドレスは○○love-foreverってか?私にはさっぱり分かりませんでしたよ、何でそんなに必死になれるのかが。4日という制限を設けなけりゃあもうちったぁ段階踏んで描けただろうに、惜しい脚本だった。しっかしまぁ一つのルートあたり二時間で終わる短編にしては良く頑張ってる方か。ケータイ小説なんかと 比べりゃあいくらかマシか。エンディングの数が多い事は多少買ってやってもいいが、どのエンディングも淡白で全っっっ然記憶に残らないしまるで感動も何もあったもんじゃない。まともなルートが一つとしてない、どれも虫食いの穴だらけで、全部のルートをプレイしないとそいつが埋まらないようになっている。おかげで喉の奥に小骨が刺さったみたいな、目の前に人参をぶら下げられた馬みたいな気分でプレイさせられた。こんな薄くて浅くて短いルートばっかで人を感動させられる訳がないんですよ。それに旅先なんかを舞台に選んだもんだから学校での日常描写ががっつり削られ、そいつがどういった人物なのかさっぱり見えてこ なかった。主人公は気を失って寝ているヒロインの寝床に勝手に潜り込んだりしてどういう精神構造をしているのか、全く理解に苦しむ。ただ起伏がそこそこあるのは良い。実に惜しいシナリオだった。世界観の作り込みが伺えるだけに、なんとも歯痒い思いをした。


テキストがアカん

 ネギが何だとか逐一下らない用語解説をおっぱじめるもんだからシナリオに全然集中出来ないし、シナリオの理解に必要な用語であってもやにわにギリシアだの北欧だの他国の事情にまで首を突っ込むもんだから無駄に解説が長くなってどこを読めやいいのかさっぱり見えてこない。無駄に豆知識ぶっこんでテキストの嵩を増しぁいいってもんじゃないだろう。こんな所にばっか労力を割くくらいなら薄っぺらい感情描写をもうちっとどうにか出来ただろうに。暗闇ん中で武道の素人である主人公に全ての攻撃を見破られてる黒タイツは本当に幼少時から訓練してたのか?それとも主人公の動体視力が人間離れしてるだけか?どちらにせよライターの実力不足だろう。鬼切り部(おにきりべ)なんて言いながら切れそうなのはおにぎりくらいなもんか、お後がよろしいようで。戦闘中にベラベラベラベラとおしゃべりに熱中していて違和感の塊だ、不意打ちの一つでもかましてやれば速攻でカタが付きそうなもんだ。それとホラーなんて自称する割にはちっとも怖くない。韻を踏んだ様な語感だけは良かった。

 “両手両足指折り数えられる数の倍ほど居合わせているのだから” (28文字)
40人ほどもいれば (9文字)

このようにすれば3分の1未満で済んだだろうに、水増し表現ここに極まれりやね。
水増しするんじゃなくてもうちっとアカ抜けた表現をだね。

“目にも止まらぬ袈裟懸け、逆胴、幹竹割り”

夜の暗闇だってのに“目にも止まらぬ”速さが主人公の目には見えている(笑)。

“八匹の蛇のお返しとばかりに続く七太刀、一呼吸の間に計八回も剣を閃かせる”

暗闇の中をまたもや達人が振う全ての剣を見破る主人公(笑)。


掛け合いがアカん

  桂 「うん。陽子ちゃんくらいのバイタリティあったら、わたしもどうにかできたのかなーって」
  陽子 「そんなの無理、無理。あたしがお化け相手に唱えられるのって、この程度のものよ?」
  桂 「この程度ってどの程度?」
  陽子 「ラーメンソーメンミソラーメン、焼きソバの皿はナンマイダー」

ごらんの通り、これは完全に一文字いくらの売文屋の文章だね。水増し蘊蓄テキストと合せて程度を見て取って頂ければ。こんなんアカっ恥もいいとこ。



バトルがアカん

 以下は戦闘中のお笑い心理描写だ、台詞の合間に39行もの状況説明が延々ダラダラダラダラと続く。当事者性の欠けた机上の思いつき戦闘描写の稚拙さ加減が見て取れるだろう。
アカも休み休み言え。

 桂 「うん……」

 強い犬は吠えないというけれど、尾花ちゃんも
吠えずに静かだ。
 だからわたしは、尾花ちゃんが来たことに気付
かなかったんだけれど――
 尾花ちゃんは背中の毛を逆立てて、静かに双子
の鬼と相対している。
 夏の夜気より高い温度を、肌が感じたその後に、
汗ばんだ葛ちゃんの背中がわたしの胸に触れた。
 数秒の時間をかけて胸が潰され、そのまま背中
に押されるように、わたしも少しずつ後ろに下が
る。
 矢面に立った尾花ちゃんが、ノゾミちゃんとミ
カゲちゃんのふたりを釘付けにしてくれていて、
わたしたちからは注意が逸れている。
 逃げるなら今のうち――ということだろうか。
 だけど一触即発の睨み合いだけに、今のこの
状態はかなり危うい均衡の上に成り立っている。
 よーいドンと手を打ち鳴らしたら、ノゾミちゃ
んたちも尾花ちゃんも、弾丸よりも速く飛び出す
かもしれない。
 ちょっとの刺激がなりゆきを左右して、戦況を
覆す。
 わたしたちはすでに薄氷を踏んでいるのだから、
下手に暴れるわけにはいかない。
 睨み合いの構図通りに、両者の戦力が拮抗して
いたとしても、たった一匹の尾花ちゃんに対して
向こうは双子。
 片方が尾花ちゃんの相手をしている間に、もう
片方がこちらに来るに違いない。
 そしてわたしたちは、敵を討ち取る牙や爪どこ
ろか、身を守る毛皮さえ持っていない、弱い生き
物なのだ。
 だからわたしと葛ちゃんは、靴底を地面にこす
りつけるようにして、少しずつ距離を取るのだ。
 だるまさんが転んだ――
 鬼がこちらの動きに気付かないように。
 慎重に、慎重に――
 気をつけていたにもかかわらず。
 わたしのどじで気付かれてしまった。

 ノゾミ 「ミカゲ、足止めを――」


キャラデがアカん

 ケイという少年に「主」と呼ばれる鬼が取り憑いているのだが、人格が乗っ取られてこいつが表に出てている時には、目ん玉の色が変わって爪が少々伸びただけで服装もそのまんま。こんなヤワそうなガキがラスボスってのはまるで絵にならない。それに黒髪ロングの日本人形なんてステレオタイプなキャラデは見飽きましたよ私は。まぁ黒タイツから伸びた足や谷間おっぱいはそれなりにエロくて良かったが。


ゲーム性がアカん

 どこにでもあるポチポチゲーだ、ミステリーもなければ音楽ゲーでもなくアクションゲーでもない。至って平凡な既視感全開のありふれたゲームでなんの真新しさもない。ゲーム性なんざ犬にでも食わせておけばいいが、それは物語が面白ければの話だ。


システムがアカん

 フラグ管理が入り組んでいるくせにクイックセーブ・クイックロードがないという不親切設計。逐一セーブとロードを繰り返す為にボタンを何度も押さなけりゃあいかんのはあまりにも面倒。用語解説も何度もボタンを押さなけりゃあ読めんし。頻繁に使うんだからボタン一つで読めるようにしておけばいいものを、プレイ中に何度も何度も何度も思いましたよ。セーブの数も20とあまりにも少ないし、エンディングの数よりも少ないセーブ数なんてのは不足もいいとこ。血液ゲージなんてものも最初は何なのかさっぱり分からんかったしこんな物は必要なし。口パク演出もパクパクパクパク……釣りあげられた鯉かっつーの。普通の立ち絵ならまだしも、刀を構えたポーズでパクパクパクパクするもんだから、見てるだけで笑いが込み上げてきましたよ本当に。一部のグッドエンディングのスタッフロールでは音飛びが発生してスピーカーが破損するかと思ったし、余韻もクソもあったもんじゃない。システムボイスはまぁそれなりに面白かった。


良かった所

 演出は気が利いていて実に良い、システムサウンドやテキストボックスの意匠まで伏線とするのは最高にクール。


まとめ

 アーカイヴスで半額セールがやってて600円で買えるなら暇潰しに手頃だろう。
それ以上払うならアカい羽募金にでもくれてやった方がいい。






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  1. 2015/03/06(金) 22:16:02|
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プロフィール

月桂樹

Author:月桂樹
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大変お手数をお掛けしますが
ブックマークの変更など
よろしくお願い致します。




よるのないくに2:
楽しむコツ
・一周目は障害物を無視
・〃好きな武器を使用
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・サイドストーリーを
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ヴァルキリードライヴ:
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星彩のレゾナンス:
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初回に奈岐ルートに入り
プレイ意欲を確立する。
下級生ルートは流し読みで。
ゲームパッド使用推奨。
アクションはガードで
キャンセル可能

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