百合ゲームレビュー -Works of "L" favorites-

サイト移転しました

つい・ゆり ~おかあさんにはナイショだよ~ 感想/レビュー

WS001057.jpg

◆序文:
(注意点、心得)

 
まず始めに、本作において大きな欠点はほとんど存在しない。

しかし特に残念であるのは直接キスをしている絵が無いという点。
キスの前後はあっても、唇を重ねているものは無い。

バッドエンドは某看護シリーズと同様に、衝撃的な結末を迎える。
しかしこちらは、分岐が早く、分岐後の全体に渡ってその調子である為、
シナリオ構成の労がそちらよりも割かれている。

個人的には、少々バッドルートに力を入れ過ぎなように感じる。
しかし何がどこまで起こるか予測が付きにくい分、グッドルートより表面的な面白さは遥かに上回っている。
“表面的な面白さ”とは、先が気になるが終われば何も残らないものを指す。

男性教師が、偶然に上の二人の下着を見てしまう場面が一回だけあるが、
別段ちょっかいを出してくることはな
い。振る舞いは紳士的であり、嫌悪感を抱くこといだろう。

紆余曲折を経て、本作は発売される運びとなったが、
本来は親友の二人がカップルになるルートがあったのではないかと思われる。
その根拠は、本作が一般的なフルプライス作品におけるボリュームの半分程度のCGとシナリオ量であった為。
 (価格の比較は、本作の豪華版に対して)

とはいえ、シナリオに水増しは
上、絵のクオリティも極めて高い。
筋肉や骨の適度な影付けが、健康的で自然、かつ官能的。具体的には「作画」項で言及する。

二人だけに焦点を絞った
ことで、時間に比して感情移入量は多い。

葛藤や背徳はあるが、重過ぎず、湿度はそれほど高くない。
繊細な範囲にとどまっているのは、個人的には好印象。(ただしグッドルートに限る)

以下、ネタバレは
し。



◇:攻略


 プレイ時間目安:約十五時間

 共通部分 : 約二時間
 一果視点グッドエンド・双葉視点グッドエンド : 約四時間ずつ
 一果視点バッドエンド・双葉視点バッドエンド : 約二時間半ずつ

 視点というのは、一人称の視点の
ことで、物語自体は異なる。
 つまり同じ物語を異なる人物の視点で見るような、水増し的な要素は皆無ということ。

 ゲージが半分付近で、片寄っている方のキャラでグッドエンドを迎える。
 ゲージを極端に片寄らせれば、
片寄っている方のキャラでバッドエンドに。



簡易表:


脚本 (what to tell 何を描くか)
一果
双葉
物語C
C
構成C
C

(※一.物語とは、世界の変革、個人の心境変化、それらの変化量。描出すべき事象の過不足の無さ)
(※二.構成とは、物語を描く為の適切な場面の配置、伏線、起伏、溜め、ミスリード、小道具の使用等)

演出 (how to show どう描くか)
一果双葉
脚本的B-B-
作画的BB
音響的B-B-
スクリプトB-B-

(※一.脚本的演出とは、見せ場を指す。出会い、別れ、愛情、信頼、危機、対決、和解、真実の劇的発露)
(※二.作画的演出とは、印象的な絵。構図、背景、表情、所作、衣装、色、光、象徴、対比、レンズ効果等)
(※三.音響的演出とは、音楽と効果音の使い方。挿入歌は含むが、演技とシステムボイスは含めない)
(※四.スクリプトとは、画面効果を指す。アイキャッチ、ワイプ、暗転、立ち位置や表情の変化等も含む)




◆脚本:
(シナリオ、構成、テキスト、表現)


まずシナリオ全体について。

衝突が弱い為、大きなドラマが生まれる
ことは無かった。

共通部分とグッドルートを合わせて六時間ほどの分量では、
ADVゲームにおいては短か過ぎると考える。

次に構成について。

数分前にあった
ことの回想を見せるが何度もあったが、
読み手は十分に覚えている範囲だと思われる為、使用頻度の過剰さが目に付いた。
少々おせっかいな所ではあるが、逆に言えば親切であるとも言える。

テキストについて。

改行は、助詞や句読点で区切るように配慮されていて読み易い。

他作品でもそれなりに見られる
ことではあるが、時折プレイヤーに語りかけているような箇所がある。
これによって、キャラに親近感を覚えるが、同時に物語世界の外側にいる
こと
意識させられ、没入感が多少減るよう感じられる。

誤字脱字は一回も無かったと思う。

双葉視点の、少々子供っぽいテキストは実に可愛らしい。
一果の方は、肩の力を抜きつつも背筋が伸びている感じで心地が良い。

少しテキストを抜粋する。

言うまでもないだろうけれど、両テキストは異なる場面から引用している。

双葉の方は少し病み始めていて、引用すべき箇所を誤った気がしないでもないが、
擬音の多さと単純な語彙に着目して頂きたい。

双葉
 「おなか空いてもちょっぴり切なくて悲しいけど、
 もっとがんばらなきゃね」

ぐぅぐぅと鳴るおなかの虫さんが治まるように、
双葉はまたおなかをなでなでして目を閉じた。

そんなこんなで一果に心配してもらおうと、
双葉はいっぱいがんばったよ。

食べるごはんの量をだんだん少なくして、
大好きなお菓子もがまんした。

一果
 「そう」

ひとつ頷いた百合は、
最後にわたしの頭をぽんと叩いて
自席へと戻っていった。

休み時間になり、わたしはすぐに教室を出た。
一応、双葉がきちんと学校へと来ているのかを
確認しようと思ったからだ。

ずっと一緒に行動してきたわたし達は、
病欠なんかのごく少ない例外を除いて、
幼稚園から一度も別々に登校したことがない。

さすがにひとりで学校へ行けない、なんてことは
ないと思うけれど……
どうしても、自分の目で双葉の姿を見なければ
気持ちが落ち着かなかった。

その双葉とは、3クラス分教室が離れている。
はやる気持ちをなだめながら、足を踏み出す。

最後に人物について。

親友の二人は双子の
ことを良く理解していて、
時に厳しい言葉も投げ掛けてくれる良い友人だ。

四人の関係も、もっと掘り下げて知りたいと思わせてくれた。



◇演技:


演者とキャラのミスマッチは、当然ではあるが一人も見られなかった。

バッドルートでは少しづつ壊れていく様を、良く演出していたと思う。



◆演出:
(スクリプト、画面作り)


視点が切り替わる際に、アイキャッチ等が
い為、気持ちの切り替えが上手くいかない。

ガラスが割れる様に画面を割り、その音を重ね、同時に色も反転させる箇所があった。
真新しさは全くないが、適切な使い所を心掛けている。

シェイク(画面を振る)や、ワイプ(画面切り替えの手法の一つ)、
ゆっくりと暗転させる等それなりにスクリプトの使用も見られた。

立ち絵も割と細かく動かしていた。立ち絵時に他のキャラがいる際に、
焦点を二人だけに合わせていた箇所もあった。
まぶたの開閉を表現するものや、涙を流している場合は画面をぼかしたりするもあった。



◇作画:
(キャラクターデザイン、原画、塗り)


立ち絵におけるスカートの動き(乱れ)具合に、各人物の性格が演出されていて良い。

唯一違和感を覚えたのは、ギャラリーの十二枚目における双葉の横顔が、
口が開き過ぎてパックマンのようになっているという点。

個人的には、縦方向のまつ毛はもう少し細い方が好み。
しかし至近距離で注視しなければ、特には気にならない。

「序文」で述べた通り、影付けはこの上なく自然かつ丁寧。

性的な部分(上と下)の周囲の影は
控え目で品がありつつ、可愛らしい絵柄にほのかな官能を感じさせる。

一般的には、影を潰して平面的になるか、過剰に影付けがなされて
品を損なうような場合が見られるが、本作の影付けは過不足がなく実に程良い塩梅であった。

少し例を挙げておこう。

内転筋における程良い影付けは、以下で確認できる。

ギャラリーの八枚目、二十一枚目、二十八枚目、二十九枚目、三十五枚目、それと十四枚目の差分五枚目。

肋骨の程良い影付けは八枚目と二十八枚目に見られる。



◆音楽:


デフォルトで小音量だった為、あまり聴き入ることはなかった。

歌とそのインストを入れて、全部で二十曲。
同メーカーの他作品の曲を一部流用しているらしい。
おそらくは、恐怖心を煽るような暗い曲がいくつかあったが、それらだろうか。

使い所を誤っているような箇所は見られなかった。



◇効果音:


鍵をかける音、扉を開く音、足音、車のエンジン、車のドアを閉める音、チャイム、滝の音、倒れる音、時計の音、腹の音、ボウルを落とす音、鳥のさえずり等、
この他にも数倍くらいはあっただろう。



◆背景:


住宅街で色とりどりの星空が視えるのは不自然。(演出的な意図は特になし)

弁当箱や部屋に個性が出ているのは良い演出。
前者は、明るいプラスチックの物や、荘重な漆塗りの重箱、無骨なアルミ製など。
後者は、余計な物は置かないのと、小物や動物のぬいぐるみ(あるいは置物)を置いたりなど。


適度に背景をボカして主題を明確にする演出も、数枚見られた。



◇システム:


音量調整は、モブキャラで男性と女性を分けているのは良い。

バックログはゲーム終了で消える。
プレイしてから終了せずにロードすると、そこまでのログが残る。

この時、文章の切れ目が曖昧で、別キャラのセリフと主人公の内面描写が混同され易くなっている。
つまり、適切な改行が行われておらず、読みにくくなっているということ。

バックログに移行すると、発話中に音声が終了するのは良くない。

システムをデフォルトに戻す機能が
い。

初回プレイ時のみ不安定だったが、XPでも動作する。
(特定のキャラの音声の再生後に、十秒程止まるのが数十回あった)



◆他:


特に言う事はない。



◇結語:


シナリオ的に特に優れた箇所があったとは思わないが、
不快に感じるような所は皆無だった。分量は少ないが水増しが無いのは良い。
テキストにも癖はほとんど無く、非常に読み易いものだった。

優れた作画が最大の美点だと考える。
グッドエンドでは幸福な気持ちになれた。

物語性のある実姉妹での関係を主眼にした百合作品の中では、最も好きな作品になった。

百合と沙希の物語も見たい。続編や完全版の制作がなされる事を願う。

P1060005.jpg






[タグ未指定]
  1. 2016/05/10(火) 02:01:47|
  2. ADVゲーム
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<バレットガールズ2 感想/レビュー | ホーム | りりくる Rainbow Stage!!! 体験版 感想/レビュー>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mimesis37.blog.fc2.com/tb.php/292-f99c12bc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

月桂樹

Author:月桂樹
◆サイト移転のお知らせ◆

http://www.yurigame.net/


大変お手数をお掛けしますが
ブックマークの変更など
よろしくお願い致します。




よるのないくに2:
楽しむコツ
・一周目は障害物を無視
・〃好きな武器を使用
・アップデートを適用
・サイドストーリーを
DLCで購入

ヴァルキリードライヴ:
楽しむコツ
デフォルトのペアで
クリアランクSSを取り、
初回からオーダールート
に入ること。
対象ステージはDrive
01~04、12~16
詳細は攻略サイトへ

星彩のレゾナンス:
楽しむコツ
初回に奈岐ルートに入り
プレイ意欲を確立する。
下級生ルートは流し読みで。
ゲームパッド使用推奨。
アクションはガードで
キャンセル可能

最新記事

カテゴリ

更新一覧 (6)
ADVゲーム (35)
ゲーム (18)
新作関連 (16)
コラム他 (23)
オーディオ (6)
星彩のレゾナンス (4)
つうかあ (14)

星彩のレゾナンス公式

星彩のレゾナンス考察

http://www.resonator.jp/

ヴァルキリードライヴ考察

http://www.mana-inagawa.info/

連絡先

laurel32237@gmail.com

サイト内検索

<注意>

本サイト内で用いた
“百合好き”の語は
筆者の想定する層
を指している為、
読者諸氏が必ずしも
そこに含まれる
とは限りません。
“百合”の意味する所も
個人差がありますので
ご注意されるよう願います。

レビュー内にはいくらか
造語を用いています。
留意しておいて下さい。

解説やレビューは
筆者の主観であり
絶対的なものという
わけではありません。

ミスがあっても
気付かずに放置する
こともあります。

示した見解は、
記事を書き上げた
当時のものであり、
現在とは異なる
場合もあります。

整合性を取る為には
記事を全て見直す
必要がありますが、
その為に使う時間が
ありません。
全体の95%が
正しい記述となればいい
くらいの気持ちで
書いています。

当ブログは、
PCからのアクセスを
前提としたサイト作りに
なっています。